跛行診断から骨折治療、膝蓋骨脱臼や前十字靭帯断裂などの関節外科を中心に診療を行っています。
整形・神経外科を専門とする獣医師が在籍しており、
椎間板ヘルニアや環軸亜脱臼などの神経外科、骨折の癒合不全、重度の膝蓋骨脱臼、変形矯正といった難易度の高い手術にも対応しています。
1. お電話にてご予約ください。診療日時を決定します。
2. 診療の5分前にはご来院ください。もし他の動物病院様で受診された各種データをお持ちの場合にはご持参ください。
1. お電話にてご予約ください。診療日時を決定します。 (※原則紹介状は必要ありません)
2. 当院にご共有いただけますデータがある場合には、飼い主様にお渡しください。
3. 診療・治療を行います
4. 紹介元病院様へお電話にてご報告を行います
5. 治療が終了しましたら、継続診療はご紹介元の動物病院様にてお願いさせていただきます。
ただし、必要に応じてご紹介元の動物病院様と連携をとりながら継続治療を担当させていただくこともございます。
※骨折や脱臼、麻痺など緊急性が高い場合には、可能な限り迅速な受入を検討いたしますので、ご相談ください。
2024.06.22 | 安川獣医師が「第108回 獣医麻酔外科学会 学術大会」で学会発表を行いました。 発表演題:「外傷性後十字靭帯断裂に対してスクリューとモノフィラメント縫合糸による関節外制動術を行った猫の1例」 |
2024.03.03 | 安川獣医師が「神奈川県獣医師会 第11回学術大会」で学会発表を行いました。 発表演題:「間欠的跛行を呈する膝蓋骨外方脱臼と長趾伸筋腱脱臼の併発に対して外科治療を行ったトイ・プードルの1例」 |
2024.03.01 | 最新型64列マルチスライスCT装置(FUJIFILM社・Supria Optica)を導入しました。 骨変形の評価や骨盤や手根・足根関節などの複雑な構造の部位の骨折の診断、椎間板ヘルニアの診断が行えるようになりました。 |
2023.06.18 | 安川獣医師が「第106回獣医麻酔外科学会 学術大会」において症例発表会の座長を務めました。 |
跛行(足をかばって歩くこと)が主訴の場合には、いつから跛行しているのか、外傷などのきっかけはあったのか、症状が出てからの経過といったお話を伺います。
治療中の病気がある場合や、過去に大きな病気の治療歴がある場合には教えてください。
目で見て得られる情報は意外と多いものです。
立っているときの姿勢、筋肉のつきかた、重心移動などを評価します。
どの足をかばって歩いているのか、どんな風に歩いているのかを確認します。
大型犬の場合には、外で歩き方をみせてもらうこともあります。
病院では緊張してあまり歩かない子もいますので、可能であればご自宅での歩き方を動画に撮ってきてもらえると助かります。
整形外科の病気の診断には、とても重要な検査です。
“整形外科の病気の診断=レントゲン検査”と思われがちですが、ここまでの検査を系統立てて行うことで診断できる病気はたくさんあります。
指先から体幹までの骨や関節をひとつずつ触診し、関節が腫れていたり、動く範囲が狭くなっていたり、不安定がないかを確認します。
ここまでの検査を行ったら、お預かりして行う検査の内容をご説明をします。
上記の検査で責任病変を絞り込めたら、その部位のレントゲン撮影を行います。
レントゲン画像は、骨だけでなく、筋肉のつきかたや関節の腫れといった軟部組織の評価を行うことも可能です。靱帯損傷に関しては、靱帯はレントゲン画像には写らないので、触診とストレス撮影を組み合わせることで診断を行います。
CT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)検査とは、体の周囲からX線を照射することによって得られた画像情報を再構成し、任意の断層像が得られる検査です。
CT検査は体の立体的な構造の情報が得られるため、複雑な構造の部分を可視化することができるだけでなく、解像度が高いために通常のレントゲン検査では検出されにくい小さな病変を発見することができます。
当院では2024年3月に最新型の64列マルチスライスCT装置(FUJIFILM社・Supria Optica)を導入し、検査精度の向上と被ばく低減に努めております。
CT | MRI | |
---|---|---|
仕組み | X線 | 磁力と電波 |
撮影方法 | 単純撮影・血管造影 | 多岐にわたる |
放射線被爆 | あり | なし |
長所 | 骨の評価 石灰化した病変の検出 腫瘍の検出(造影剤が必要) 検査時間が短い(10〜30分) |
脳・脊髄実質の評価 (浮腫・炎症・水腫・腫瘍の鑑別) 撮影法をかえることで病変の質的評価が可能 |
短所 | 脳・脊髄実質の評価には不向き 石灰化していない病変は検出不可 |
検査時間が長い(30〜90分) スライス間隔が厚い 体内に金属がある場合には検査できない (マイクロチップ、ペースメーカーなど) |
※MPR画像:多段面再構成像(Multi-planar reconstruction)
CTデータを任意の平面で切り出して再構成した画像
血液検査
手術が必要な場合には、術前検査として行います。
超音波検査
手関節や靱帯、筋肉の評価を行うために行います。
レントゲン画像は静止画ですが、リアルタイムで関節の動きを評価できるのも超音波検査の利点のひとつです。
関節液検査
関節のなかに炎症が起こる病気を疑う場合に実施します。
関節のまわりの毛刈りと消毒を行い、細い針を刺して関節液という関節の中の水を抜いて成分を調べます。
MR検査
レントゲン検査やCT検査では診断・治療が難しい病気を疑う場合に検討します。
主に頭蓋内の疾患や麻痺を伴う脊髄疾患が対象となります。
(※MR検査は検査可能な施設に行っていただく必要があります。)
診断がついたら治療方針をご説明をします。
適切な治療を行うためには、飼い主様の病状の理解はとても大切です。しっかり時間をとって説明しますので、わからないことがあれば気兼ねなく質問してください。
整形外科手術の合併症のひとつに手術部位感染(SSI:Surgical site infection)が挙げられます。手術部位感染は、治療の目標を達成しにくくなるだけでなく、全身状態の悪化や命に関わる問題に発展する可能性があるため、その発生には細心の注意を払う必要があります。
手術部位感染に対する当院での取り組みを紹介します。
麻酔導入場所と手術室の分離
犬や猫では手術前の毛刈りが必須です。毛刈りの際には周囲に毛が舞ってしまい、清潔な環境を維持するのが難しいため、手術室とは異なる部屋で麻酔をかけて毛刈りを行います。
手術用ガウンの着用
人の皮膚からは1分間に1,000〜10,000個の微生物が落下するとされています。
手術の際には皮膚が露出しにくいように、手術スタッフは全員ディスポーザブル(単回使用)の手術用ガウンを着用しています。
陽圧手術室
隣接する部屋よりも気圧を高く維持できる陽圧手術室で手術を行います。
空気は気圧の高い方から低い方へ流れる性質があるため、特殊なフィルターを通過させた清浄な空気を室内に供給し、塵埃などを含む空気は室外へ押し出されるような設計になっています。手術室の内部は細菌の増殖しにくい室温(17〜20℃)と湿度(50%以下)に調整しています。
プラスチック・ドレープの使用
皮膚表面の常在細菌が術野に入らないように消毒液を含んだプラスチックドレープを皮膚に貼り付けて手術を行います。
麻酔がかかっていても、いたみは苦痛だけでなく心拍数の増加や高血圧といった好ましくない変化を引き起こします。
適切な鎮痛を行うことは苦痛を和らげるだけでなく、麻酔薬の量を減らすこともでき、より体の負担の少ない安全な麻酔を行うことができます。
神経ブロック
太い神経の幹に局所麻酔薬を作用させることで、その神経の支配領域の痛みや運動能力を遮断します。より確実に神経ブロックを行うために、神経刺激装置による神経刺激や超音波検査による末梢神経の描出を併用します。
毛刈りが終わった後に超音波装置にて坐骨神経を描出し、
神経刺激装置で末梢神経を刺激しながら局所麻酔薬を注入します。
1. 坐骨神経の描出
2. 局所麻酔薬の注入
身体の向きを変えて超音波装置にて大腿神経を描出し、
神経刺激装置で末梢神経を刺激しながら局所麻酔薬を注入します。
3. 大腿神経の描出
4. 大腿神経への針の刺入出
5. 局所麻酔薬の注入
硬膜外麻酔
脊髄のまわり(硬膜外腔)に局所麻酔薬を投与することで、広範囲の鎮痛を行うことが可能です。第7腰椎と仙椎の間に針を刺します。股関節の手術や、両側の後肢の手術を同時に行う際に使用します。
合併症:硬膜外膿瘍、硬膜外血腫など
適応外:脳圧亢進、感染、出血傾向が疑われる場合
鎮痛剤の静脈投与
手術の内容や手術部位、病態によっては局所麻酔や神経ブロックが適応できない場合があり、その際には注射による鎮痛剤の静脈投与を行います。鎮痛剤の静脈投与では、投与中持続して鎮痛効果が得られ、状態に応じて投与量の調整を行うことができます。
「どうぶつ整形外科センター湘南」では、幅広く研修医の受け入れを行っております。
専門的な知識を得たいが研修先にお悩みの先生、あるいは整形外科の勉強をしたい獣医学部の学生さんなどお気軽にお問い合わせください。
・ 資格:臨床経験3年目以上(該当しない場合には応相談)
・ 募集人数:若干名
・ 研修期間:1年毎に更新(随時受入)
・ 研修義務:週1日〜(8:30〜17:30)
・ 開催日:水・木・金・土(隔週/第1・3土曜日)
・ 診断プロセスの学習
・ レントゲンの撮影技術と読影スキルの獲得
・ 研修期間:1年毎に更新(随時受入)
・ 手術適応の判断、手術計画の学習
・ 外科技術の獲得
・ 学会発表のノウハウの獲得
獣医師としての専門性を高めるには、質の高い診療や手術に参加し、多くの症例を経験する必要があります。ただやみくもに手術をしても十分な成長は望めません。専門性を高める過程においては、適切な教育を受けることが必要不可欠です。
これから整形外科の勉強をしたい!という熱意を持った先生の応募をお待ちしております。
安川 慎二,獣医師,博士(獣医学)
所属学会:日本獣医麻酔外科学会、神奈川県獣医師会
出身大学:麻布大学獣医学部獣医学科(2009年3月卒)
日本大学大学院獣医学研究科獣医学専攻博士課程(社会人院生)(2016年3月卒)
2009~2012:辻堂犬猫病院勤務
2009~2012:DVMsどうぶつ医療センター横浜 整形外科研修医
2012~2016:日本大学大学院獣医学研究科獣医学専攻博士課程(社会人院生)
研究テーマ:犬の膝蓋骨内方脱臼において生じる骨変形と病態の解析
2012~2022:DVMsどうぶつ医療センター横浜 整形外科
2016~現在:日本大学獣医外科学研究室 研究員
2023~:辻堂犬猫病院にて整形外科専門外来
整形外科手術執刀件数:1700件以上(2024年時点)
コメント:元気に走ったり、飼い主さんと遊ぶことは、動物たちにとってとても大切なことです。いたみや違和感を言葉で訴えることができない彼らに代わって、原因をみつけて最適な治療をご提案したいと思います。
第94回 獣医麻酔外科学会(2017年6月)
「犬の前十字靭帯断裂における脛骨近位部の骨形態の評価 –単純X線画像による犬種間の比較–」 アワード受賞
平成27年度 神奈川県獣医師会学術大会(2015年11月)
「わが国における犬の膝蓋骨内方脱臼についての疫学的調査」 学術奨励賞
雑誌名:Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology. Vol 34 No.5: pp.303–311, 2021.
演題名:Morphological Analysis of Bone Deformities of the Distal Femur in Toy Poodles with Medial Patellar Luxation.
雑誌名:Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology. Vol 29 No.1: pp.29–38, 2016.
演題名:Evaluation of bone deformities of the femur, tibia, and patella in toy poodles with medial patellar luxation using computed tomography.
雑誌名:Japanese Journal of Veterinary Research. Vol 64 No.1: pp.39–49, 2016.
演題名:Epidemiologic study of dogs with the displacement or deformity of the medial and lateral fabellae in Japan.
学会名:ACVS Surgery Summit, October 17–19, 2019 in Las Vegas, Nevada
演題名:Clinical Outcome of Distal Radial and Ulnar Fractures in 111 Toy and Miniature Breed Dogs Using 2.0mm or 2.4mm Locking Compression Plates; Poster presentation
学会名:European college of veterinary surgeons annual meeting, July 2–4, 2015 in Berlin, Germany
演題名:The relationship between deformities of the distal femur and pathological severity in dogs with medial patellar luxation; Poster presentation
学会名:ACVS Veterinary Symposium, October 24–26, 2013 in San Antonio, Texas
演題名:Evaluation of Bone Deformity in Dogs with Medial Patellar Luxation Using Computed Tomography; Oral presentation
学会名:第108回獣医麻酔外科学会(2024年6月)
演題名:発表演題:「外傷性後十字靭帯断裂に対してスクリューとモノフィラメント縫合糸による関節外制動術を行った猫の1例」
学会名:第11回神奈川県獣医師会 学術大会(2024年3月)
演題名:間欠的跛行を呈する膝蓋骨外方脱臼と長趾伸筋腱脱臼の併発に対して外科治療を行ったトイ・プードルの1例
学会名:令和4年度関東・東京合同地区獣医師大会・三学会(2022年9月)
演題名:犬の前十字靭帯断裂に対する脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)後の膝関節の不安定性に関する検討
学会名:第104回獣医麻酔外科学会(2022年7月)
演題名:尺骨遠位成長板早期閉鎖によって生じた肘関節の不整合と前腕変形を伴う歩様異常に対して尺骨近位骨切り術と肘関節の整合性の改善および橈骨矯正骨切り術が奏功した1例
学会名:第103回獣医麻酔外科学会(2022年3月)
演題名:骨変形を伴う膝蓋骨内方脱臼Grade 4に対して大腿骨と脛骨に矯正骨切り術を実施したトイ・プードルの1例
学会名:令和3年度関東・東京合同地区獣医師大会・三学会(2021年9月)
演題名:橈骨遠位成長板早期閉鎖に対してSagittal sliding osteotomyによる橈骨伸延術を行った柴犬の1例
学会名:第97回獣医麻酔外科学会(2019年1月)
演題名:肘関節に発生した真菌性関節炎の犬の1例
学会名:平成30年度関東・東京合同地区獣医師大会・三学会(2018年9月)
演題名:猫の膝蓋骨内方脱臼整復術におけるRudy法の有用性に関する検討
学会名:第96回獣医麻酔外科学会(2018年6月)
演題名:トイ・プードルにおける橈骨の形態解析–CTを用いた橈骨に対するプレートの設置位置に関する基礎研究–
学会名:第95回獣医麻酔外科学会(2017年12月)
演題名:犬猫の成長板骨折58症例における回顧的検討
学会名:平成29年度関東・東京合同地区獣医師大会・三学会(2017年9月)
演題名:パワードプラ法血流増加シグナルで炎症性関節疾患を評価した犬の2例
学会名:第94回獣医麻酔外科学会(2017年6月)
演題名:犬の前十字靭帯断裂における脛骨近位部の骨形態の評価 アワード受賞
学会名:第93回獣医麻酔外科学会(2016年12月)
演題名:装具を併用した保存療法が奏功した犬の内側関節上腕靭帯損傷の一例
学会名:第92回獣医麻酔外科学会(2016年6月)
演題名:ロッキングコンプレッションプレート(LCP)を用いて治療した小型犬種における橈尺骨骨折の回顧的検討
学会名:平成27年度神奈川県獣医師会学術大会(2015年11月)
演題名:わが国における犬の膝蓋骨内方脱臼についての疫学的調査 学術奨励賞
学会名:第89回獣医麻酔外科学会(2014年12月)
演題名:犬の膝蓋骨内方脱臼における大腿骨遠位部の骨変形と病態との関連性
学会名:第86回獣医麻酔外科学会(2013年6月)
演題名:犬の膝蓋骨内方脱臼におけるCTを用いた骨変形の評価および単純X線所見との比較
学会名:第85回獣医麻酔外科学会(2012年12月)
演題名:コンピューター断層撮影(CT)を用いた大腿骨と下腿骨の計測法および撮影ポジションに関する検討
学会名:第33回動物臨床医学会(2012年11月)
演題名:犬の腓腹筋種子骨の変位および形態に関する疫学的検討
学会名:第78回獣医麻酔外科学会(2009年6月)
演題名:犬の膝蓋骨内方脱臼に関する研究 -3D-CT画像による骨変形の評価-
講演名:株式会社Life&Tail 猫の疾患シリーズ WEBセミナー「整形外科」(2018年)
講師:安川慎二
学会名:第94回獣医麻酔外科学会(2017年6月)
演題名:若手獣医師による若手獣医師のためのBasicセミナー「犬の膝蓋骨内方脱臼 –診断アプローチ–」
名称:1年目を生き抜く動物病院サバイバルノート(2019年)
書籍販売元:学窓社 著者:安川慎二,総監修:藤井康一,他
名称:膝蓋骨脱臼に取り組む「膝蓋骨脱臼とは ~定義と疫学、そして診断」(2018年)インフォ・ベッツ 191号 No.1
書籍販売元:株式会社アニマル・メディア社 著者:安川慎二
名称:ANIMAL HOSPITAL インフォームドコンセントシート「整形疾患」(2018年)CLINIC NOTE
書籍販売元:インター・ズー 著者:安川慎二
名称:3Dビジュアルで学ぶ犬の関節解剖学(2017年)
書籍販売元:緑書房 訳:安川慎二(肩関節),枝村一弥(監訳),他
名称:犬&猫カラーアトラス 骨-関節外科アプローチ(2015年)
書籍販売元:メリアル・ジャパン株式会社 訳:安川慎二,枝村一弥(監訳),他
樋口 剛,獣医師
出身大学:日本大学獣医学科
2002:辻堂犬猫病院開設
2003〜2007:麻布大学 整形外科専科研修医
2007〜:日本大学 整形外科専科研修医