2026年02月28日コラム
「動物病院で手根関節の脱臼と言われたけれど、どんな手術をするの?」
「手術をしたら、また歩けるようになる?」
「全手根関節固定術のあと、生活で気をつけることはある?」
このような不安を感じている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の手根関節は、前肢の「手首」にあたる部分です。
歩行のたびに体重がかかる重要な部位の一つでもあります。
手根関節が重度に損傷すると強い痛みや不安定さから、歩くこと自体が難しくなる場合があります。
そのようなケースで選択される外科治療のひとつが「全手根関節固定術」です。
全手根関節固定術は、関節の動きをあえてなくし、痛みと不安定さを取り除くことを目的とした手術です。
この記事では、犬の手根関節の全手根関節固定術について、手術の内容や適応、術後の生活までわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の手首の治療を考える際の参考になさってください。

手根関節は、前肢の手首にあたる関節で、複数の骨と靱帯によって構成されています。
歩行時には大きな負荷がかかるため、安定性がとても重要な関節です。
全手根関節固定術とは、この手根関節の動きを完全になくし、骨同士を固定して一体化させる手術を指します。
関節の可動性は失われますが、その代わりに、痛みや関節のぐらつきを根本的に取り除くことができます。
「動かなくなる」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、痛みがなくなることで、多くの犬が日常生活に支障の少ない歩行を取り戻しています。

全手根関節固定術は、次のような状況で検討されます。
全手根関節固定術は、安静や内科治療では改善が見込めないと判断されたときに行われる手術です。
痛みを取り除き、再び歩行できる状態を目指して治療が行われます。
愛犬が手根関節を大きく損傷してしまった場合は、全手根関節固定術が適応になるかどうか、獣医師とよく相談することが大切です。

全手根関節固定術では、次のような手順で手術が行われます。
術後、手首は固定されて動かなくなりますが、その分痛みがなくなり、ほとんどの犬が通常に近い歩行ができるようになります。
手術後はギブスなどで固定し安静と運動制限が必要になります。
歩行が徐々に可能になるのは、骨がしっかりとつながり固定される手術後2〜3ヶ月後です。
どの外科手術にも、一定のリスクは伴います。
全手根関節固定術で考えられる主なリスクは次のとおりです。
多くの場合は、適切な手術と術後管理によりリスクを最小限に抑えることができます。
術後に
といった変化が見られた場合には、早めに動物病院で相談しましょう。

手術後は、獣医師の指示にしたがって長期的な管理が必要です。
術後1ヶ月ほどはケージの中で過ごすなど特に安静に過ごす必要があります。
骨がつき始める術後2〜3ヶ月頃から、徐々にリハビリなどを行うことが可能です。
少しずつ日常生活の動きを取り戻すために運動量を増やしていきましょう。
また、体重増加は前肢への負担を大きくするため、体重管理も大切です。
ご自宅では、床に滑りにくいマットを敷くなど、転倒予防の工夫をしましょう。
定期的な通院で、骨の状態や感染の有無を確認することも欠かせません。

犬の全手根関節固定術は、重度に損傷した手根関節を固定することで、痛みと不安定さを取り除く手術です。
大きな手術であるため、術後の管理は長期にわたることもあります。
ただし、飼い主様のサポートによって、愛犬の生活の質を大きく改善できる可能性があります。
当院では整形外科治療にも力を入れ、さまざまな症例に対応しています。
愛犬の手根関節のケガや治療についてお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院