2026年02月21日コラム
大型犬が散歩中に前足をかばう様子を見ると、「どこか痛いのかな?」と心配になりますよね。
実はその症状の背景に、成長期の大型犬に多い「肘関節形成不全」という病気が隠れていることがあります。
肘関節形成不全は特に前足をかばう症状が特徴的な病気です。
前足の症状を放置してしまうと関節炎に移行し、痛みが強くなる恐れもあります。
今回の記事では犬の肘関節形成不全についてご紹介します。
特に成長期の大型犬を飼っている方は最後までお読みいただき、大型犬の整形疾患について知るきっかけにしてみてください。

犬の肘関節形成不全は肘関節を構成する骨に異常が生じる病気であり、特に成長期の大型犬で多くみられます。
肘関節形成不全は放置してしまうと二次性の関節炎に進行し、痛みも悪化してしまいます。
肘関節形成不全は肘関節に関わる
に生じる疾患の総称です。
代表的な疾患には
が挙げられます。
これらの疾患は骨や軟骨の一部分が遊離し、関節炎の原因になります。
基本的にはレントゲン検査でこれらの疾患の診断が可能です。
しかし、小さな骨の破片は必ずしもレントゲンで検出できるわけではありません。
症状の改善が見られない場合はより精密な検査としてCT検査が必要になることもあります。
大型犬に明確な基準はありません。
ただし、一般的に成犬で25kg以上の犬を指すことが多いです。
代表的な犬種は
が該当します。
大型犬は体が大きく運動量が多いため、関節の疾患には注意が必要です。

肘関節形成不全の原因には
などが挙げられます。
特に
などの大型犬では肘関節形成不全を引き起こす遺伝的素因が受け継がれやすいです。
これらの大型犬では成長期において橈骨と尺骨の成長差が大きくなり、関節内の力のバランスが崩れてしまいます。
関節内の力の不均衡によって肘関節に関わる骨に異常が生じ、肘関節形成不全の原因になるということです。
大型犬は体重が重く、日常の立ち上がりや歩行だけでも関節に大きな負担がかかります。
そのため、関節炎に進行すると痛みが強く出やすい傾向にあるため注意が必要です。
さらに、大型犬の成長期においてカルシウムを過剰に与えることも骨格異常の原因になります。
早く成長するようにとカルシウムのサプリメントなどを過剰に与えてしまうと、逆に骨の成長を妨げてしまう危険性があります。
肘関節形成不全のもっとも多い症状は前肢の痛みです。
肘関節をかばうことで以下のような症状がみられます。
大型犬は運動量が多く、過度に関節に負担をかけてしまうこともあるため、ドッグランで遊んだ後などは特に歩き方を観察してみましょう。
関節炎に進行していない場合は日常生活の動きでは痛みが現れないこともあります。
成長期の大型犬の場合は、早期発見のためにも動物病院で整形学的検査を定期的に受けるようにしましょう。
肘関節形成不全が疑わしい場合、症状や病変の状態によって、保存療法で様子を見る場合と外科手術が必要な場合に分けられます。
保存療法に反応がない場合や関節の可動域が過度に制限されている場合は手術が推奨されることが多いです。
以下では具体的な治療法についてみていきましょう。
保存療法は関節への負担を減らし、痛みを軽減することが目的です。
痛みが軽度から中等度であれば、初期治療では保存療法を行うことが多いです。
痛みの軽減には痛みどめの飲み薬や関節炎のサプリメントを用います。
急性に痛みが生じた場合、一定の期間で運動制限を行うことで痛みが軽減する場合もあります。
ただし、大型犬では体重が重く、前肢にかかる負担が大きいため、保存療法のみでは痛みの改善が得られにくい場合もあります。
特に成長期を過ぎても症状が続く場合は、治療方針の再検討を獣医師と相談しましょう。
肘関節形成不全の外科手術の方法には関節鏡や尺骨骨切り術などが挙げられます。
関節鏡手術では関節の周囲に5mm程度の穴を開けて、その穴から専用の器具を挿入します。
関節鏡を用いることで関節内の観察だけでなく、遊離している骨の破片を除去することが可能です。
大型犬では、将来的な体重増加や運動量を考慮し、早い段階で原因を取り除くことで、関節炎の進行を抑えられる可能性があります。
尺骨骨切り術は尺骨をあえて切断することで肘関節にかかる力のバランスをとる手術です。
切った部分はそのまま自然修復を待つ場合とプレートと骨折治療用の器具を用いて固定する場合があります。
肘関節形成不全を防ぐためには成長期の適切な栄養管理が非常に重要です。
大型犬では特に栄養の偏りやフードの量に気をつけて与える必要があります。
基本的には総合栄養食に分類されるドッグフードを食べていれば安心です。
手作り食やサプリメントを与える場合は栄養バランスに注意が必要です。
また、大型犬では過度の体重は関節に負荷をあたえやすいため、適正体重を保つことも大切ですね。

いかがでしょうか?
肘関節形成不全は成長期の大型犬に多い整形疾患です。
放置してしまうと関節炎が悪化し、犬が痛みに苦しむ期間が長くなってしまいます。
足の痛みの症状は気づきにくいこともあるため、特に成長期の大型犬は一度動物病院でチェックすることをおすすめします。
当院では肘関節形成不全の治療を行っております。
今回の記事を読んで「うちも大型犬を飼ってるけど大丈夫かな?」と不安に思われた方はぜひ当院までご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院