2026年02月14日コラム
犬の前肢にある中手骨は、日常の歩行やジャンプを支える重要な骨です。
そんな中手骨が骨折してしまうことがあります。
犬の中手骨骨折は日常生活のちょっとした不注意で起こりやすい外傷で、特に多い原因が、ドアに足をはさまれる事故です。
室内犬が増えた現代では、玄関や室内ドア、車のドアによって骨折するケースが多くなっています。
この記事では、ドアによる事故で犬の中手骨骨折が起こる原因から骨折の治療方法や対策まで詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき愛犬を骨折から守れるように日常にお役立てください。

中手骨とは、前足の手首(手根)と指の間にある細長い骨のことを指します。
前肢の「手のひら」に相当する部分です。
犬には通常5本の中手骨があり、体重を支え、歩行や走行に重要な役割を果たしています。
第3・4中手骨:体重を主に支える重要な骨
第2・5中手骨:補助的な役割
第1中手骨:人間の親指に相当し、地面にほぼ接しません。
この骨は細く、外からの強い力に弱いため、挟まれる・強く圧迫されることで骨折しやすい特徴があります。
以下のような場面で、犬の中手骨骨折の事故が発生しやすくなります。
家の中のドアや玄関のドアを閉める際、足元にいる犬に気づかずドアを閉めてしまい、前足を挟んでしまうことがあります。
とくに小型犬は飼い主の足元をついて歩くことが多く、存在に気づきにくいため注意が必要です。
また、風などでドアが急に閉まってしまい、足を挟んでしまう場合もあります。
スライドドアや自動で閉まるタイプのドアでも同様の事故が起こることがあります。
家の玄関のドアだけでなく、車のドアに前足を挟まれてしまって中手骨骨折が起きるパターンも多いです。
車から人だけが降りようとしたら、後ろからついてきた犬が前足を挟まれてしまうケースがよくみられます。
ドアで中手骨を骨折した際にみられるサインは以下のようなものがあります。
軽度の骨折の場合では、少し足をかばう程度に見えることもあり見逃されがちのため注意が必要です。

犬の中手骨骨折の際にはレントゲン検査で以下を確認します。
治療は骨折の状態や犬の体重や性格によって選択されます。
保存療法は骨のズレが少ない場合や1~2本のみの骨折である場合に選択されます。
保存療法の場合は、包帯やスプリントによる固定を約4~6週間行います。
この間は安静を維持することが必須です。
中手骨骨折の外科手術3本以上の骨折がある場合や、骨折部位が大きくずれている場合に選択されます。
手術の方法としては、以下のような方法があります。
手術によって、正確な骨折の整復と早期の機能回復が期待できます。
回復期には以下が重要です。
手術後も通院をして患部の状態の確認や、レントゲン検査で骨折の治癒の経過を確認します。
治療が遅れたり安静が守れなかった場合、再骨折のリスクや骨が変形して治癒してしまったり、慢性的な破行が残ることがあるため注意が必要です。
治療がスムーズに進めば、通常通り歩けるようになります。
獣医師の指示に従い、安静を維持し定期的に通院して早期の治癒を目指しましょう。
ドアによる骨折事故を防ぐためには、日常生活での予防が非常に重要です。
日常生活のちょっとした工夫で、愛犬を骨折事故から守ってあげることができます。
以下のような対策を心がけていきましょう。
家のドアや車のドアを閉める際に必ず犬の位置を確認しましょう。
犬は足元の見えにくい位置で、飼い主様の後を追って一緒に出ようとしたり、車を降りようとしたりするため十分に注意が必要です。
ソフトクローズ機能やドアストッパーを活用することで、ドアが急に閉まってしまうのを防ぐことができます。
犬が人の後を追って歩いている際にドアに挟まれてしまうケースが多いです。
ドアの前や車を降りる際に待てをする習慣をつけると、突発的なドアによる事故を防ぐことができます。
子犬や小型犬は骨が細かったり、老齢犬は骨がもろかったりするため、少しの衝撃でも骨折が起きやすいです。
軽く挟む程度でも場合によっては中手骨骨折を引き起こすことがあるため、十分に注意しましょう。

ドアによる犬の中手骨骨折は、日常生活の中で起こりやすい外傷のひとつです。
一瞬の油断が、長期間の治療につながることもあるため十分に注意をしていきましょう。
足の異常に気づいたら様子を見ずに、早期に動物病院を受診することが大切です。
当院は整形外科に力を入れています。
骨折したかもしれない、歩き方がおかしいなど、気になる症状があった際はいつでも当院にご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
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