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犬のモンテジア骨折とは?|原因・症状・治療法を獣医師が解説

2025年11月21日コラム

犬のモンテジア骨折とは?|原因・症状・治療法を獣医師が解説

散歩中のウェルシュコーギー

犬が前足をけがしてしまったとき、意外と見落とされやすいのが「モンテジア骨折」です。
名前を聞き慣れない飼い主様も多いかもしれませんが、放置すると肘の機能に深刻な影響を与えるため注意が必要です。

この記事では、モンテジア骨折とは何か、どのような犬に起きやすいのか、治療方法や予後まで詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、犬のモンテジア骨折への理解を深めて、早期発見・早期治療につなげてください。

犬のモンテジア骨折とは?

犬の肘関節は上腕骨と橈骨・尺骨で構成されており、非常に複雑な構造をしています。
犬のモンテジア骨折とは、橈骨頭(橈骨の先端部分)が肘関節から外れつつ、尺骨が骨折している状態です。

人の整形外科では古くから知られている外傷ですが、犬でも転落や強い外力によって発生することがあります。

どんなときに起こるの?

モンテジア骨折は以下のようなシーンで起こることがあります。

  • 高いところからの落下(ソファ、抱っこ中など)
  • ジャンプの着地失敗
  • ドッグランなどでの急停止・急旋回
  • 交通事故

特に小型犬や若齢犬は骨が細く、衝撃に弱いため注意が必要です。
モンテジア骨折は大きな事故だけではなく、滑りやすいフローリングで転んだり、椅子から飛び降りた際など、日常的な場面でも起こりうるケガです。

走るジャックラッセルテリア

どんな症状が出る?

モンテジア骨折が起きると、次のような症状が見られることがあります。

  • 急に前足を使わなくなる
  • 肘を曲げたまま足を挙げる
  • 触ると強く痛がる
  • 肘が腫れている、熱を持っている
  • 歩き方に違和感がある(びっこをひく)

特に肘の脱臼に気づかれにくく、治療が遅れる可能性もあります。
足の動きに違和感を感じたら、整形外科を得意とする動物病院を受診しましょう。

モンテジア骨折の治療法

モンテジア骨折の治療は外科手術が基本となります。
脱臼した橈骨頭は自然には元に戻らず、放置すれば肘関節の変形や機能不全を引き起こす危険があります。

外科手術の内容

  • 骨折した尺骨の整復(プレートやピンで固定)
  • 脱臼した橈骨頭の整復と安定化
  • 必要に応じて靱帯の修復も実施

とくにモンテジア骨折は骨折だけではなく脱臼の整復も必要なため、整形外科の専門的な技術が求められます。
骨折が疑われる場合には、なるべく早く整形外科を得意とする動物病院を受診することが重要ですね。

術後の経過とリハビリ

モンテジア骨折の手術後は、しっかりとした術後管理とリハビリが重要です。

  • 1〜2週間の安静・包帯管理
  • 徐々に散歩などの運動を再開
  • 関節が固くならないようにリハビリを実施

とくに肘関節の可動域が狭くなったままだと、将来的な生活の質に影響を及ぼす可能性があります。
リハビリも含めて手術後はしっかりと通院しながら経過を見ていくようにしましょう。

モンテジア骨折の予後は?

モンテジア骨折を治療した後は元通り歩けるようになるのでしょうか?
手術とその後のリハビリがうまくいけば、ほとんどの犬はふたたび元気に歩けるようになります。
ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 診断や治療が遅れた場合
  • 肘の脱臼が長期間続いていた場合
  • 成長期に骨の変形が進んでしまった場合

これらのケースでは、歩様の異常が残ったり、慢性的な痛みが出ることもあります。
このような後遺症を残さないためにも、モンテジア骨折では早めの診断・治療が大切です。

ドッグランを走るパピヨン

まとめ

モンテジア骨折は、骨折と脱臼が同時に起きる見落とされやすい外傷です。
小型犬や活発な犬に起こりやすく、日常の中でも発症する可能性があります。
モンテジア骨折は適切な診断と手術、そして術後のリハビリによって多くの犬は元気に回復することができます。

当院では整形外科を得意としています。
「歩き方がおかしい」などのサインに気づいたら、ぜひ早めにご相談ください。

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