2025年09月21日コラム
「骨盤骨折ってただの骨折じゃないの?」
「最近高いところから落ちた後、うんちが出にくそうだけど関係ある?」
「骨盤骨折って手術が必要?そのままでも治るの?」
上記のようなことが心配になった飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
骨盤骨折は犬で比較的多い外傷性の骨折の一つです。
骨盤骨折があった場合には、
以上のことにも影響を及ぼすことがあります。
今回は骨盤骨折の治療法、骨盤骨折による便秘について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、骨盤骨折と便秘の関係、治療法についてご参考にしてください。
骨盤は、後ろ足と体幹をつなぐ大きな骨で、いくつかの重要な役割を果たしています。
骨盤の役割は以下のようになります。
骨盤は股関節を介して後ろ足の運動をコントロールする重要な骨です。
また、膀胱、直腸、生殖器などの臓器を保護しています。
骨盤内を通っている神経は下半身や排泄機能に関わっているものもありますね。
骨盤は以上のように生きていく上で重要な役割を担っている骨の一つです。
骨盤骨折は骨盤にヒビが入ったり折れたりすることです。
骨盤骨折の症状は、
などが挙げられます。
他にも、排泄の異常や食欲がなくなるなどの全身症状が現れることもありますね。
骨盤骨折の診断は、
で行います。
骨盤骨折の発生原因は、交通事故、高所落下等の外傷がほとんどです。
まれに腫瘍などの病的骨折によって起こることもあります。
骨盤骨折によって便秘を起こすことがあるということをご存知ですか?
実は骨盤骨折を起こすことで、
などが起こるため、便秘を引き起こすことがあります。
骨盤骨折による便秘は一つの原因だけでなく、上記に挙げたようないくつかの理由が重なって起こることもあります。
便秘が長引くと、巨大結腸症や腸閉塞を発症することがあります。
巨大結腸症とは、便が溜まることによって結腸が巨大化してしまう病気です。
巨大結腸症になると、便を押し出す力が弱くなってしまい、さらに便が出しづらくなる悪循環に陥ることがあります。
骨盤骨折による腸閉塞は、骨折片が腸を圧迫し、便の通り道がなくなることで引き起こされます。
腸閉塞になると、便やガスが腸に溜まってお腹が張り、嘔吐や食欲不振などの症状が現れることもあるので注意が必要です。
また、便秘が長引くと、便の溜まった腸が尿道を圧迫し、尿が出にくくなることもあります。
便秘を放置してしまうと、食欲不振、脱水等の症状が現れ、命に関わる可能性も否定できません。
骨盤骨折は単なる骨折だけではなく、命に関わる合併症のリスクもあるため、早期の診断・治療が重要です。
骨盤骨折の治療法には保存療法と外科治療の二つが挙げられます。
骨盤の変位が軽度で骨のずれが少ない場合は、安静や痛みの管理を行うことで、骨がくっつくのを待ちます。
数週間から1ヶ月以上安静が必要なこともあり、食事や排泄のサポートが必要です。
また、排便しにくいような症状がある時には、下剤や浣腸によって排便を助けることがあります。
ただし、下剤や浣腸の効果が乏しいような排泄障害があり、保存療法のみでは改善が難しい場合には、手術になることもあります。
骨盤のずれが大きい場合や腸・神経の圧迫によって便秘や麻痺の症状がある場合には、手術が必要です。
手術では折れた骨を元の位置に戻し、プレートやスクリューを用いて固定します。
手術では、骨の安定化だけでなく、腸や神経の圧迫を解除して便秘や神経障害を改善させる目的もあります。
骨盤骨折は便秘、排泄機能、神経にも影響を及ぼす可能性があります。
骨盤骨折による便秘は巨大結腸症、腸閉塞の合併症を引き起こし、全身状態にも影響する危険性があります。
骨盤骨折は早期の診断・治療が重要ということですね。
治療方法は保存療法と外科治療の2種類です。
骨盤骨折によって腸や神経が圧迫されて、便が出にくい、足が動かしにくいなどの症状がある場合には手術が選択されます。
当院では、骨盤骨折の治療も行なっています。
少しでも違和感を感じるようであればお気軽にご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院