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犬の骨折治療に使われる「プレート固定法」とは?|手術の目的や流れを解説

2025年08月21日コラム

犬の骨折治療に使われる「プレート固定法」とは?|手術の目的や流れを解説

緑のカラーをつけた柴犬

「うちの子が骨折したと言われたけれど、プレート固定ってなに?」
「プレートを入れる手術って痛そうだけど、やらなきゃいけないの?」
「術後の管理や合併症が心配で踏み切れない」

犬の骨折治療で「プレート固定法」と聞くと、手術や金属プレートに不安を感じる飼い主様も多いかもしれません。
特に初めて手術が必要と説明された場合、わからないことが多く不安になるのは当然です。

今回は、犬の骨折に対して実施される「プレート固定法」について、基本的な考え方や手術の流れ、術後管理まで詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の治療選択に役立ててください。

プレート固定法とは?

プレート固定法とは、骨折した部分を金属製の「プレート」と「スクリュー(ネジ)」で固定する外科手術です。
骨折の断端を正しい位置に戻し、プレートで橋渡しのように固定することで、骨がつくのを助けます。

この方法は以下のようなケースで用いられます。

  • 骨のずれが大きい骨折
  • 関節内の骨折
  • 他の固定法(ギプスやピン)では安定性が得られない部位
  • 体重がかかりやすい骨(大腿骨・橈尺骨・脛骨など)

特に中型犬〜大型犬、または活発な性格の犬では、ピンなどの外部固定だけでは骨の安定性が不足することも多く、プレート固定が推奨される場面が少なくありません。

プレート固定法のメリットとデメリット

プレート固定法は、正しい位置に骨を戻して安定させられる方法です。
次のようなメリットとデメリットがあります。
特に術後のトラブルを避けるためには、整形外科の経験が豊富な動物病院で手術を受け、適切な治療の選択と術後管理を行うことが重要です。

メリット

  • 骨折部位をしっかりと固定できる
  • 関節内骨折や複雑骨折にも対応できる
  • 比較的早い段階からリハビリが可能
  • ギプスや包帯による拘束が最小限

デメリット

  • 全身麻酔と手術が必要
  • 感染やネジのゆるみなどの合併症リスク
  • 状況によってはプレートの抜去が必要

 

手術室で器具を受け渡す医師と看護師

手術の流れと回復までの管理

プレート固定の手術は、まず骨折部位を露出し、整復(骨を元の形に戻す)したうえで、骨にフィットする形のプレートを当ててネジで固定します。
骨折の種類によっては、ロッキングプレートなど特殊な器具を使用することもあります。

手術後は以下のような管理が行われます。

  • 数日間の入院(疼痛管理と感染予防)
  • 2週間程度で抜糸(皮膚の状態による)
  • 約6〜8週間の運動制限(安静)
  • 状況に応じてリハビリテーションを実施
  • 骨がついているか評価するための定期的なレントゲン検査

完全に骨がつくには通常2〜3か月程度かかるとされており、その間の飼い主様のサポートがとても重要になります。

ドッグランで吠えるトイプードル

プレートは一生入ったまま?

骨折の治療で入れたプレートは、骨が完全につけば不要になります。
プレートは骨がついた後、必ずしも取り除く必要はありません。
ただし、次のような場合には再手術で抜去を行うこともあります。

  • プレートが皮膚のすぐ下にあり違和感がある
  • スクリューのゆるみや痛み
  • 成長期の犬で今後の成長に影響する場合

成犬でトラブルがなければ、そのままでも問題ないケースが多いです。
抜去するかどうかは、獣医師と相談して判断しましょう。

まとめ

プレート固定法は、犬の骨折において高い安定性と確実な治癒を目指せる治療法のひとつです。
手術が必要であるため不安を感じるかもしれませんが、整形外科の知識と経験をもった獣医師のもとで適切な処置を受けることで、良好な回復が期待できます。

手術の有無を含めて迷っている場合は、まずは動物病院で詳しい検査と説明を受けましょう。
プレート固定が最適かどうかを、個々の症例に応じて判断していくことが大切です。

当院では整形外科の専門的な診療を行っています。
骨折の手術について疑問や不安点があればご相談ください。

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