2026年03月14日コラム

犬の下顎骨骨折が、噛み合わせに大きな影響を及ぼすことをご存じでしょうか?
犬の下顎骨骨折は適切な治療が行われないと、食事をうまくとれなくなったり、慢性的な痛みや顔貌の変化につながることもあります。
この記事では、下顎骨骨折が噛み合わせに与える影響や治療法を中心に詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、犬の下顎骨骨折と噛み合わせの関係について知見を深めてください。
犬の下顎骨(かがくこつ)は、左右2本の骨が下顎結合部でつながっています。
歯を支え、咀嚼や発声に重要な役割を果たします。
犬の下顎骨は健康な状態であれば、日常生活の中で簡単に骨折することはありません。
犬の下顎骨が骨折するのは、強い力が加わった場合(外傷)や下顎骨が弱っていて折れやすくなっている場合(病的骨折)が考えられます。
外傷の場合は、以下のような原因があります。
犬の下顎骨骨折の多くは外傷によるものです。
また病的骨折には、
といった原因があります。
特に歯周病が進行した小型犬では、軽い衝撃でも骨折することがあります。
犬の正常な噛み合わせは上顎の歯がわずかに下顎の歯を覆い、左右対称になっている状態です。
口を閉じたときに、歯同士が自然に接触しています。
下顎骨が骨折すると、以下のような症状がみられます。
下顎骨はわずかなズレでも噛み合わせに影響しやすいのが特徴です。

犬の噛み合わせがずれることで、次のような問題が起こります。
このように、噛み合わせ異常は犬にとってQOL(生活の質)が大きく落ちる原因となります。
また下顎骨骨折の治癒後にも噛み合わせがずれたままだと、生涯にわたり不快感が残ることもあるため注意が必要です。
そのため、下顎骨骨折は早期発見、早期治療により噛み合わせに影響が出ないようにすることが重要となります。
犬の下顎骨骨折の治療の最大の目的は、骨を正しい位置に戻し、正常な噛み合わせを回復させることです。
まずは顎の左右差や歯列の不整、口の開閉時の異常がないかをしっかり確認します。
そしてX線検査やCT検査によって、
を詳細に評価し、骨折の状態に応じて治療法が選択されます。
保存療法とは、安静にして骨が自然にくっつくのを待つ治療法です。
下顎骨骨折が軽度でズレがほぼない場合は、保存療法が適応となります。
普段の食事を流動食や柔らかくふやかしたフードなどにし、顎の負担を減らし安静を保ちます。
ただし、すでに噛み合わせに影響がある場合は適応外になることが多いです。
噛み合わせがズレが大きかったり、成長期の子犬のケースでは外科手術が検討される場合があります。
上記のような治療法を骨折や噛み合わせの状態や、犬の体格に応じて選択されます。
また重度歯周病が下顎骨骨折の原因となっている際には、抜歯やスケーリングなどで口腔内の環境を清浄化することが必要です。
下顎骨骨折の治療後は以下のようなことに注意していきます。
早期治療で正確な噛み合わせの調整を行えた場合、多くは経過良好で通常通りの生活が遅れます。
ただし、成長期の犬は下顎骨骨折により顎の変形リスクがあるため、治療経過には注意が必要です。
また、治癒後もご自宅でデンタルケアを継続することも重要です。
歯周病予防をすることで、下顎骨骨折の再発防止となります。

犬の下顎骨骨折は、噛み合わせの異常を引き起こす骨折です。
犬の下顎骨はわずかなズレでも生活の質に影響し、見た目より重症になるケースが多いです。
そのため犬の下顎骨骨折は、早期診断・正確な整復が重要となります。
「食べにくそう」「口の閉じ方が変」といった小さな違和感を見逃さないようにしていきましょう。
当院は歯科診療に力を入れています。
愛犬の噛み合わせが気になったとき、口腔内に違和感を覚えたときなどいつでもご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院