2026年02月07日コラム

「少し足を浮かせているけれど様子をみよう」
「キャンと鳴いてから歩き方がおかしいけれど、そのうち治るだろう」
このような状況になったことがある飼い主さまもいらっしゃるのではないでしょうか?
足の違和感は何事もなく数日で症状が治まることもありますが、万が一骨折していた場合は早急な対応が必要なこともあります。
特に犬の橈尺骨骨折は、放っておくと一生歩けなくなるような重大な後遺症を残すリスクがある外傷です。
今回は犬の前足で発生率の高い、橈尺骨骨折を放置すると起こってしまうリスクについて解説していきます。
この記事を読んで少しでも心当たりを感じたら、手遅れになる前に動物病院を受診しましょう。
犬の前足の手首から肘の間には橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2本の骨が並んでいます。
この橈骨と尺骨が折れた状態を橈尺骨骨折と呼びます。
犬の橈尺骨骨折はトイ・プードルなどの小型犬によく見られる外傷です。
小型犬の骨は非常に細いうえに血流も乏しく、一度折れてしまうと自然に治ることはほとんどありません。
主な原因はソファからの飛び降りや転倒など、日常の何気ない瞬間に潜んでいます。
治療はギプスでの固定が難しいため、多くの場合で外科手術による精密な固定が必要です。
犬の橈尺骨は繊細な部位だからこそ、適切な処置を早急に行うことが完治への大きな鍵と言えます。
早期発見と正しい治療こそが、愛犬の足の健康を守る唯一の方法です。
犬が骨折をした場合に「少し様子を見れば自然にくっつくはず」という考えは、非常に危険です。
犬の橈尺骨骨折を放置すると起こりうる主なリスクは以下の通りです。
以下に詳しく説明します。
橈尺骨骨折を放置すると偽関節を形成することがあります。
偽関節とは、折れた箇所がグラグラしたまま固まらなくなる不安定な状態のことです。
偽関節ができると身体の強度は失われるため、自分の体重を支えることは困難になります。
偽関節の治療は通常の骨折治療よりもはるかに難しい再手術が必要になります。
骨が本来とは違う方向に曲がったままつながってしまうことを変形治癒と呼びます。
変形治癒が起こると足の長さが変わったり、関節の可動域が制限されたりします。
歩行困難が一生続くことにもなりかねません。
変形治癒が起こってしまった場合、再び骨を折って整復するという、負担の大きい処置が必要です。
痛みがある足をかばって生活していると、使われない足の筋肉は細く固くなっていきます。
これを筋萎縮と呼びます。
犬が足をかばう生活を数週間放置するだけでも、筋肉は固まってしまうため注意が必要です。
筋萎縮が起こった場合は、後から手術で骨を真っ直ぐにつなげたとしても、失われた筋肉や柔軟性を取り戻すために長期的なリハビリが必要になります。
橈尺骨骨折の治療が遅れると、骨が腐ってしまったり、全身に菌が回り命に関わったりするような場合もあります。
この場合は、命を優先するために足を切断する断脚手術をしなければならないこともあります。
犬の骨折は、最悪の場合、命を脅かす可能性があることを覚えておきましょう。

犬が以下のような仕草を見せた場合、橈尺骨骨折を起こしている可能性があります。
これらの症状は、たとえ見た目の変化が小さくても、内部で骨折している可能性も考えられるため楽観視してはいけません。
痛みを感じている犬はパニックになっていることも多いので、慌てず注意しながら動物病院へ向かいましょう。

犬の橈尺骨骨折は、日常生活のささいなきっかけで発生する非常に身近なものです。
しかし放置すれば生涯にわたる歩行機能や生活の質を著しく損なう恐れがあるリスクの高い外傷です。
治療は決して簡単ではありません。
骨折の疑いがあるときは、早急に受診しましょう。
当院は整形外科に力を入れており、症例経験が豊富にあります。
不安なことがあれば、当院までぜひお気軽にご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
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