2025年12月28日コラム

犬の上腕骨とは犬の肩と肘を繋ぐ骨のことです。
その上腕骨が、高所からの落下事故などで骨折してしまうことがあります。
犬の上腕骨骨折は外科手術が必要になるケースが多く、術後のリハビリ期間もとても大切になります。
リハビリの進め方によって、その後の歩き方や生活の質が大きく変わることも少なくありません。
この記事では犬の上腕骨骨折がどれくらいのリハビリ期間が必要か、リハビリの注意点など詳しく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただき犬の上腕骨骨折のリハビリについての知見を深めてください。
犬の上腕骨は、肩と肘をつなぐ前足の中で最も太く重要な骨です。
上腕骨骨折は犬の前肢骨折の中でも比較的多く、以下のような犬で起こりやすいとされています。
上腕骨骨折の原因は主に高いところからの落下や交通事故です。
若齢犬では骨が成長中で柔軟性が少ないため、軽度の衝撃でも骨折しやすい傾向があります。
また、高齢犬でも骨密度が低下して筋肉の衰えが影響し、骨折しやすくなることがあります。
上腕骨骨折の基本は外科手術となります。
骨プレートや髄内ピン、創外固定を用いて骨を元の場所に戻して固定します。
ごく軽度の骨折の場合は、ギプスや包帯によって固定をする保存療法が行われる場合もありますが、保存療法は骨がずれやすいという欠点がある点に注意が必要です。
年齢や骨折の状態に応じて治療法は選択されます。
外科手術を行った場合にはリハビリを行うことが重要です。
リハビリを行うことで、元の運動機能を取り戻すまでの期間を短くしてあげることができます。
犬の上腕骨骨折のリハビリ期間は、骨折の状態や手術方法、年齢などによって差がありますが、おおよそ3〜4か月が目安となります。
一般的な回復の流れは以下の通りです。
この時期は安静にし、痛みの管理を行う時期となります。
炎症を抑え、関節拘縮(関節が固まってしまう)を防ぐのが目的です。
安静を保ちつつ、無理のない範囲で肩や肘をゆっくり曲げ伸ばしすることで関節や筋肉がこり固まってしまうことを防げます。
獣医師の指示に従って行いましょう。
この期間は徐々に通常の歩行に戻して行って、筋肉の萎縮を防いでいきます。
多くの犬がこの時期から足を使い始められるようになります。
施設によっては水中トレッドミルを取り入れることもあります。水の浮力により、関節への負担を抑えながら運動ができるリハビリ方法です。
この時期から筋力・持久力を戻していき通常の歩行に近づけていきます。
骨癒合が進むため、元の日常生活に戻れる時期ですが、ジャンプやダッシュなど激しい動きはまだ禁物です。
リハビリ期間の最終段階です。
元の運動機能や俊敏性を取り戻していきます。
ジョギングや長めの散歩を実施します。
またクッションなどでのバランストレーニングなども行うこともありますね。
骨はほぼ完全に治癒してくるため、多くの犬が通常の生活に復帰できます。

以下の場合は、回復が遅れリハビリ期間が長くなることがあります。
リハビリ期間が長くなってしまう場合でも、その子にあった方法でゆっくりリハビリを進めることが重要です。
定期的に通院し、獣医師と相談しながら適切な治療やリハビリを継続することで早めの回復を目指せます。
リハビリ期間中は以下のようなことに気をつけて過ごしていきましょう。
早期に運動をさせてしまうと、手術部のプレートやピンが破損したり、再骨折の危険性があります。
などの様子が見られた場合は、運動量を減らして獣医師に相談しましょう。
また急激な体重増加は骨折の治癒を遅らせる可能性があるため注意が必要です。
リハビリ期間中も定期的に病院に通院し、骨折の治癒状態を確認しながら適切なリハビリをしていくことが重要です。

犬の上腕骨骨折は治癒までに多くのリハビリ時間を要する場合が多いです。
骨折の回復具合を見ながら適切にリハビリを進めていくことで、治癒までの期間を短くしてあげることが可能です。
当院は整形外科に力をいれています。
上腕骨骨折の治療から、リハビリの進め方などお困りの際はいつでもご来院ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院