お知らせ
犬の上腕骨骨折とナックリングについて|足の甲をつく歩き方は神経の問題?

2025年12月14日コラム

犬の上腕骨骨折とナックリングについて|足の甲をつく歩き方は神経の問題?

こちらを見つめるヨークシャテリア

「上腕骨骨折の手術後、ナックリングしてるけど様子見で大丈夫?」
「ナックリングと上腕骨骨折は関係あるの?」
「ナックリングは治るの?」
上記のようなことが心配になる飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬は上腕骨骨折がきっかけでナックリングと呼ばれる歩行異常を起こすことがあります。

今回は、犬の上腕骨骨折とナックリングの関係、そして回復の可能性や対処法について解説していきます。
ぜひ、最後までお読みいただき愛犬の歩き方の異変に気づいたときの参考にしてください。

上腕骨骨折とは

上腕骨は肩と肘の間に位置する太い骨です。
上腕骨は

  • 転落
  • 落下
  • 交通事故

などの強い衝撃で折れることがあります。

特に小型犬では抱っこ中に落下して骨折するケースが多く見られます。

 

上腕骨骨折が起こると見られる症状は、

  • 足を地面につかない
  • 痛がる
  • 足が腫れる

などです。

上腕骨骨折は骨の位置を正確に整復する必要があるため、手術による固定が必要になることが多いです。
上記のような症状が見られる場合は早めに動物病院を受診しましょう。

ナックリングとは

上腕骨が骨折したときには、ナックリングの症状が見られることがあります。
ナックリングとは、犬が足の甲を地面につけて歩く状態のことです。
本来、犬は肉球のある足の裏を地面につけて歩きます。
しかし、何らかの原因で足先を持ち上げる動きがうまくできなくなると、足の甲が下を向いたままになり、足の甲で地面をこすって歩くようになります。

林道をかけてくる犬

上腕骨骨折とナックリングの関係

上腕骨骨折の後にナックリングの症状が見られる場合、橈骨神経が障害を受けているサインかもしれません。
橈骨神経は上腕骨の表面を走行している前足を伸ばす働きに関与している神経です。
そのため、上腕骨を骨折すると橈骨神経に影響が及び、前足をうまく伸ばせなくなることでナックリングが起こることがあります。

上腕骨骨折に伴う橈骨神経の損傷の原因は、以下のようなケースが考えられます。

  • 骨折の際に折れた骨片が橈骨神経を傷つけた
  • 骨折部位の腫れや出血により橈骨神経が圧迫された
  • 手術の際の骨折部周囲の操作や手術後のケアにより長時間橈骨神経が圧迫された

ナックリングは橈骨神経の障害だけが原因とは限りません。
骨折後の安静や運動制限により前足の筋肉が萎縮したり、関節が硬くなったりすることでナックリングすることがあります。
ナックリングは一過性の麻痺であれば数週間から数ヶ月で自然に回復していくことも多いですが、後遺症が残ることもあります。
リハビリや適切なケアで回復が期待できるため、上腕骨骨折後にナックリングが見られる場合には早めに動物病院で見てもらいましょう。

ナックリングの治療法・ケア方法

ナックリングの原因や程度によって治療法はさまざまです。
ナックリングの主な治療やケア方法は、

  • 保存療法
  • 薬物療法
  • リハビリ

などが挙げられます。

ナックリングが続く場合でも、早期に適切なケアを行うことで機能の回復が期待できることがあります。
愛犬の異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。

保存療法

手術後や軽度の神経障害が疑われる場合は、安静を保ちつつ炎症が落ち着くのを待つ保存療法が行われます。
腫れや圧迫が原因の場合、炎症の改善とともに症状が回復していくことがあります。

薬物療法

神経や筋肉の炎症や浮腫を抑えるために消炎鎮痛剤や神経の回復をサポートするような補助的な薬剤が使用されることがあります。
痛みを和らげることで、リハビリがスムーズに行えるようになる効果もあります。

リハビリ

神経の機能が徐々に戻ってきた段階では

  • 歩行練習
  • マッサージ
  • 温熱療法

などを行い、神経や筋肉の回復を促します。
また、足の甲を擦って傷にならないように足先を保護することも大切です。
リハビリは獣医師と相談しながら行うようにしましょう。

ラグに伏せて寝る犬

まとめ

犬の上腕骨骨折は整復の手術が必要になることが多い骨折です。
上腕骨骨折がきっかけとなり、ナックリングが見られる場合があります。
ナックリングの後遺症を残さないためにも、早期の適切な処置が重要です。

当院では整形外科に力を入れております。
犬の歩行に違和感を感じた場合や骨折でお困りの際はお気軽にご相談ください。

神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院