2025年11月28日コラム

「最近、愛犬が前足を痛がるようになった」
「手首が腫れていて、足をつくのを嫌がる」
「散歩の途中で前足を浮かせて歩くことがある」
そんな症状が続いている場合、手根関節のリウマチという病気の可能性があります。
手根関節とは、いわゆる「手首」にあたる部分のこと。
リウマチは、人間でもよく耳にする病気ですが、実は犬でも発症することがあります。
この記事では、犬の手根関節のリウマチの原因や症状、治療方法について獣医師がわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の歩行異常や関節の腫れに気づけるように備えてください。
犬の手根関節(人間でいう手首)に炎症が起きる病気のひとつに「リウマチ様関節炎」があります。
これは、犬の免疫機能が自分自身の関節を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一種です。
リウマチでは、関節の内側にある「滑膜(かつまく)」が炎症を起こし、関節が腫れたり、痛みが出たりします。
進行すると軟骨や骨が破壊され、手首の変形や歩行困難につながるケースもあるため、早期発見と治療が大切です。
犬のリウマチの原因は、はっきりとはわかっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
リウマチはどの関節にも起こりますが、体重を支える四肢の関節、なかでも前肢の手根関節に出ることが多いといわれています。
犬のリウマチはそれほど頻度の高い病気ではありませんが、以下のような傾向が知られています。
他の関節炎(例:変形性関節症、感染性関節炎など)と区別がつきにくいため、診断には慎重な評価が必要です。
気になる症状がある場合は整形外科を得意とする動物病院を受診するようにしましょう。

リウマチの症状は、初期は軽く、見過ごされることもあります。
進行すると以下のような症状がみられることがあります。
症状は片方の足に出ることもあれば、両方の手根関節に出ることもあります。
関節の炎症が進行すると、関節構造が破壊され、見た目の変形や関節のぐらつき(不安定)が生じることもあるため、早めの受診が重要ですね。
リウマチは進行していると飼い主様の目で見ても「痛そう」「腫れている」などが分かるかもしれません。
動物病院でのリウマチの確定診断にはいくつかの検査が必要になります。
ここでは簡単に概要だけご紹介します。
これらの検査をもとに、関節リウマチなのか、感染症や外傷など他の病気なのかを見分けていきます。
手根関節のリウマチの治療では、症状をおさえながら進行を防ぐことが基本になります。
お薬は長期間続ける必要があることもあり、副作用に注意しながら獣医師と相談して治療を継続します。
リウマチそのものに対して外科手術を行うことはまれです。
重度で関節の破壊が進んでいる場合には、まれに関節固定術や除去手術が検討されることもあります。
ただし、多くのケースでは内科的治療がメインで行われます。
リウマチは完治が難しい慢性疾患です。
しかし、早期に治療を始めることで進行を防ぎ、痛みを抑えながら日常生活を維持できるケースが多くあります。
ただし、治療を中断したり、長期間放置すると以下のようなリスクがあります。
そのため、飼い主様による継続的な観察と動物病院でのフォローがとても大切です。

犬の手根関節リウマチは、自己免疫が原因で関節に炎症が起こる病気です。
放置すれば関節が破壊されてしまうこともありますが、早期の診断と治療で進行を抑えることができます。
「手首が腫れている」「足をかばう」など、気になる症状があれば早めに受診し、必要に応じて検査や治療を始めることが大切です。
当院では整形外科疾患にも力を入れており、関節の痛みに関するご相談も多数お受けしています。
歩き方や関節の異常が気になる場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院