2025年10月21日コラム
犬も人間と同様に骨折することがあります。
骨折と聞くと、事故などで怪我をした状態をイメージしませんか?
しかし、犬の骨折の原因に「骨密度の低下」によるものがあるのをご存知でしょうか。
骨折や骨密度低下は、特にシニア犬や病気を持つ犬で注意が必要です。
この記事では、犬の骨折や骨密度低下の原因、症状、予防法について詳しく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただき、犬の骨の健康を守るために知識を深めましょう。
骨折とは、骨に強い力が加わって、折れたりひびが入ったりする状態です。
犬の場合、以下のような状況で骨折が起こることがあります。
原因のひとつである、骨がもろくなっている状態というのが骨密度の低下です。
骨密度が低下すると、日常でのちょっとした動きや衝撃によって簡単に骨が折れてしまいます。
どのようにして骨密度の低下が起こるのか、詳しく説明していきましょう。
骨はカルシウムとリンのようなミネラルと、ビタミンDによって作られています。
骨密度とは、骨の中にどれだけミネラルが詰まっているかを示す指標で、骨の硬さを表しています。
骨密度が低下すると、骨の強度が落ち、ちょっとした力でも骨折しやすくなるため、注意が必要です。
犬の骨密度が低下する主な原因は以下のようなものがあります。
犬も人と同様に歳をとると、体内のカルシウムの濃度が減り、骨の強度も低下します。
また、加齢に伴い筋肉量も減ってくるため骨折のリスクが上がります。
犬の上皮小体機能亢進症という病気も、骨密度が低下する原因のひとつです。
副甲状腺とも呼ばれる上皮小体からホルモンが過剰に出ることにより、カルシウムやリンのバランスが崩れ、骨密度の低下につながります。
上皮小体機能亢進症には原発性のほかに、栄養性や腎性のタイプがあります。
それぞれ解説していきましょう。
栄養性上皮小体機能亢進症では、食事内容が骨密度に関わってきます。
特に犬に肉などを多く食べさせていると、リンの過剰が起き、バランスをとるために骨からカルシウムが溶け出します。
これが骨密度の低下になり、骨折を引き起こすこととなるため、注意が必要です。
腎性上皮小体機能亢進症は、腎臓病によって引き起こされる疾患です。
腎臓病の進行に伴い、活性型ビタミンDの合成が低下し、腸からのカルシウムの吸収が低下します。
また腎臓病になると、リンの過剰が起きることでバランスを取ろうと、骨吸収が進み骨が脆くなることもあります。
まれではありますが、骨形成不全という生まれつき骨が脆くなってしまう先天的な異常があります。
骨形成不全では、同時に身体に複数の骨折を起こしてしまうケースもあります。
犬が骨折や骨の異常を起こしている場合、次のような症状が見られることがあります。
骨が折れたり異常が出ている時は強い痛みがでます。
これらの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
骨密度の低下や骨折のリスクを減らすために、日常で出来ることは以下のようなものがあります。
骨を支える筋肉をつけるためにも、適度な運動が必要です。
愛犬の体調や年齢に合わせて、日常的な散歩や遊びの中で運動習慣をつけるように心がけましょう。
犬の骨の健康を守るには適切な食事も重要です。
犬の総合栄養食を主体としたバランスのとれたものを心がけましょう。
外傷による骨折を避けるためにも、ご自宅の環境を整えていきましょう。
などの工夫も大切です。
病気の早期発見や健康維持のために、定期的な健康診断を受けることも重要です。
骨密度低下に繋がるような病気を早期に発見し、適切な治療を開始することで、犬の骨も含め身体全体の健康を守っていくことになります。
犬の骨折や骨密度低下は、痛みだけでなく、生活の質(QOL)にも大きな影響を与えます。
特に高齢の犬では、ちょっとした事故で深刻な骨折につながってしまう場合もあります。
原因となる疾患によっては、命に関わることもあります。
日頃からの予防・栄養管理・定期健診が、愛犬の健やかな生活を支えるために重要です。
当院では整形外科を強みにしています。
骨や関節のこと、歩き方のことなど何か気になることがある場合は、いつでもご相談ください。
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