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猫のジャンプで起こる大腿骨折とは?|原因や症状、治療法を解説

2025年10月07日コラム

猫のジャンプで起こる大腿骨折とは?|原因や症状、治療法を解説

カーテンレールからジャンプする猫

猫は高い場所からのジャンプが得意な動物です。
しかし、なかにはジャンプが原因で骨折を起こすケースもあります。
とくに大腿骨(太ももの骨)の骨折は、重症化しやすく、手術を必要とすることが多いため注意が必要です。

本記事では、ジャンプにより起こる猫の大腿骨折について、症状や治療法そして日常生活での注意点まで詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫が万が一ジャンプで骨折してしまったときに役立ててください。

猫のジャンプと骨折の関係

猫は上下運動が得意な動物です。
ご家庭ではキャットタワーや棚などにジャンプして登ることが日常的な行動になっているでしょう。
しかし、その日常的な運動が骨折につながってしまうこともあります。

高所からの着地失敗や滑落

猫が大腿骨を骨折する原因としてもっとも多いのは、

  • 高い場所からの落下
  • 着地の失敗

です。
とくに以下のようなケースで骨折リスクが高まります。

  • キャットタワーからの落下
  • 窓枠や冷蔵庫の上からのジャンプ
  • フローリングや滑りやすい床への着地

高齢の猫や、筋力の落ちた猫では、ちょっとした段差でも骨に大きな負担がかかり、骨折してしまうことがあります。

基礎疾患の影響も考慮

若くて元気な猫が骨折する場合は、大きな衝撃が関係していることが多いです。
しかし、日常的なジャンプで簡単に骨折してしまう場合には、骨に異常をきたす基礎疾患の可能性も考えられます。
たとえば、代謝性骨疾患や腫瘍などが骨の強度を弱めているケースです。
骨折の背景に病気が隠れていることもあるので、猫が骨折をしたと思ったらなるべく早く動物病院へ相談しましょう。

カーテンレールからジャンプしようとする猫

大腿骨折を起こした猫に見られる症状

大腿骨は太くてしっかりした骨です。
大腿骨を骨折すると強い痛みや歩行困難が現れます。
以下のような症状がある場合は、骨折を疑いましょう。

  • 後ろ足を引きずる、浮かせたままになる
  • 鳴き声をあげて動こうとしない
  • 足を触ると強く嫌がる
  • 明らかな足の変形や腫れがある

また、猫は比較的痛みを我慢する動物です。
そのため、飼い主様が気づいたときにはすでに重症化していることも少なくありません。
足をかばっている様子や動きに違和感を感じたら、早めに動物病院で診察を受けることが大切です。

大腿骨骨折の検査と診断

動物病院では、視診やレントゲン検査などを行って骨折の有無や程度を確認します。

  • 大腿骨のどの部分が折れているか
  • 折れた骨がズレているか(転位の有無)
  • 大腿骨骨折以外の合併症がないか(内臓の損傷など)

これらを踏まえて、治療方針が決定されます。
また、骨折の背景に病気が隠れている可能性も否定できません。
猫が日常の軽いジャンプで大腿骨を骨折してしまった場合は、獣医師とよく相談して検査を進めていきましょう。

猫の大腿骨骨折の治療法

猫の大腿骨骨折の治療としては、外科手術による「内固定」が主流です。
骨の状態に応じて

  • 骨プレート
  • スクリュー
  • インターロッキングネイル

といった器具を使ってしっかりと骨を固定します。

大腿骨は体重がかかる重要な骨であるため、ほとんどの症例で手術がおすすめです。
大腿骨骨折は自然治癒を期待して放置するのは難しいケガです。
骨がずれたままくっついてしまうと、将来的に歩行に支障をきたす可能性があります。
特に骨が粉砕していたり、骨の位置が大きくずれていたりする場合には、手術によって正しい位置に戻し、しっかりと固定することが重要です。

事故や高所からの転落などの強い力によって骨折が生じた場合には、手術前に全身状態を安定させてから手術を行います。
手術後は安静が必要ですが、骨が正しく固定されれば1〜2ヶ月程度で日常生活に戻れるケースもあります。

自宅でできるケアと予防のポイント

大腿骨骨折を防ぐためには、日常生活での滑りやすさや、ジャンプ環境の見直しが有効です。

  • フローリングに滑り止めマットを敷く
  • キャットタワーや家具の上に柔らかいマットを敷く
  • 段差の少ない動線にする
  • 高齢猫にはジャンプ台やステップを設置する

また、過度なダイエットや栄養不足は骨を弱くする原因になることがあります。
適正な体重管理と栄養バランスの取れた食事も大切です。

ケージの上から飛び降りようとする猫

まとめ

猫の大腿骨骨折は、日常的なジャンプや着地の失敗がきっかけになることがあります。
骨折を放置すると強い痛みや歩行障害が残る可能性があるため、「なんだか足の様子がおかしい」と思ったら、すぐに動物病院を受診することが大切です。

骨折に強い動物病院できちんと手術による治療を行えば、多くの猫はふたたび元気に歩けるようになります。

当院では、整形外科に力を入れております。
猫がジャンプをした後に気になる症状があるといった場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

神奈川県藤沢市の動物病院
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