2025年09月28日コラム
犬の脛骨が骨折して皮膚から飛び出ている?|開放骨折の危険性と治療法を解説
「うちの犬の足が折れてるかも」
「骨が皮膚から出てる。これって大丈夫?」
「すぐ病院に連れていくべき?」
このような状況に遭遇した飼い主様は、驚きと不安でいっぱいかと思います。
犬の脛骨(けいこつ)骨折は、後ろ足の「すね」にあたる部分の骨が折れるケガです。
中でも、開放骨折の場合は緊急性が極めて高くなります。
今回は、犬の「脛骨骨折」特に「開放骨折」について、原因や治療法まで詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬がケガをした際の参考にしてください。
開放骨折とは、骨折した部位が皮膚を突き破り、骨が外に露出する状態を指します。
脛骨は皮膚のすぐ下に位置する、すねにあたる部分の骨です。
筋肉による保護が少ないため、折れた骨が皮膚を突き破りやすいという特徴があります。
さらに、脛骨は体重を支える重要な骨です。
そのため、骨折時には大きな痛みと歩行困難を伴います。
脛骨が開放骨折を起こすと、骨の損傷だけでなく、感染や出血のリスクも高いため、早急な処置が必要です。
脛骨の開放骨折は、以下のような強い外力によって発生します。
また、小型犬や若齢犬では骨が細く柔らかいため、比較的軽い衝撃でも開放骨折が生じることがあるため注意が必要です。
骨に疾患がある犬(骨腫瘍や代謝性疾患など)では、病的骨折として脛骨骨折が起きるケースも報告されています。
開放骨折が発生すると、犬には以下のような症状が見られます。
骨が露出していない場合でも、「骨折+皮膚の損傷」が見られたら開放骨折の可能性があるため、速やかな診察が必要です。
開放骨折では、骨の整復・固定に加えて、感染予防や出血のコントロールといった処置も必要になります。
まず、開放骨折の場合には応急的な対応が必要です。
感染や出血による重症化を防ぐために、上記のような対応によって治療を行います。
出血や感染への対応が済んだら、骨の固定を行う処置を行います。
開放骨折の場合には、骨の外に器具を装着する創外固定法が選択されることが多くあります。
創外固定法は骨を直接触らずに手術可能なため、感染のリスクを下げることができるためです。
犬の創外固定法についてはこちらの記事もご覧ください。
「犬の骨折の創外固定法について|メリット・デメリットについて解説」
骨折部分の治療以外にも、壊死した皮膚や筋肉のデブリードマン(切除)が必要なケースも。
ケガをしている部分の感染が進んでいると骨髄炎や壊死のリスクが高くなります。
そのため、治療の成功には早期対応と専門的な整形外科技術が必要です。
開放骨折の術後は、一般的な骨折よりも慎重かつ長期的なケアが必要です。
安静期間は 最低6〜8週間必要で、ケージ内で安静にするケージレストが求められます。
開放骨折の場合は、傷口の保護が重要なため、骨がついているかどうか以外にも傷口の状態もよく観察していきます。
毎日清潔を保つために、消毒や抗生物質の投与を行いつつ、定期的に診察で状態を確認しましょう。
骨がついたあとは、歩行訓練、筋力回復などのリハビリを行うこともあります。
リハビリが必要かどうかは、獣医師の判断によりますので、診察の際に確認してみましょう。
脛骨の開放骨折は、犬にとって命にかかわる大ケガです。
痛みだけでなく、感染や骨の癒合不良、歩行障害などを残すリスクがあります。
そのため、できるだけ早く整形外科のある動物病院で治療を受けることが重要です。
とくに、出血が多い場合や骨が大きく飛び出ている場合には、早急に診察を受けましょう。
当院では、整形外科手術・感染管理・術後ケアまでトータルで対応しています。
「後ろ足をまったくつけない」「骨が見えているかも」などの異常がある際には、すぐにご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院