2025年09月07日コラム
犬が骨折と診断を受けた時に、
「治療できるのか心配」
「前みたいに走れるようになるのかな」
「手術が必要と言われたけどどんな手術になるのかな」
上記のようなことが心配になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の骨折は手術適応になることも多い怪我の一つです。
骨折の治療法は骨折した部位や種類によって大きく異なります。
今回は骨折の治療法の一つである創外固定法について解説していきます。
ぜひ、最後までお読みいただき、骨折の治療法のご参考にしていただければ幸いです。
骨折とは骨が折れたり、砕けたりした状態のことです。
一口に骨折といっても、骨のどこが折れているかによって症状や治療法は大きく異なります。
骨折の中でも四肢の骨折で見られる症状は、
などが挙げられます。
上記のような症状が見られた場合には、骨折をしている可能性があるため、すぐに、動物病院を受診しましょう。
さらに骨折には分類があります。
骨折は大きく開放骨折、閉鎖骨折に分けられます。
骨折は時間が経つと骨がくっつきにくくなってしまうこともあります。
また、折れた骨の一部が皮膚を突き破ってしまったりすることもあるので早めの受診、治療が重要です。
骨折の治療は骨折の部位、種類によって異なります。
骨折の治療法は大きく外固定法と内固定法、創外固定法の大きく3つに分けられます。
外固定法とは、手術を行わずにギプスなどで固定したり、副木と一緒に固定したりする方法です。
内固定法とは、手術によって骨を直接露出して、内部から固定する方法です。
今回は残りの一つである創外固定法について解説していきます。
創外固定法とは、皮膚の上からピンを骨に貫通させ、骨に通したピン同士を皮膚の外側で金属のフレームで固定する方法です。
上記のイラストのように皮膚から金属のフレームが出ている状態になります。
創外固定法は基本的には前肢では橈骨や尺骨、後肢では脛骨や腓骨での骨折の治療で用いられます。
他には、開放骨折などの感染のリスクが高い骨折にむいている治療法です。
創外固定法のメリットには以下のことが挙げられます。
内固定はインプラント(プレートやピンなど)で骨を直接固定するため、インプラントが感染源になることがあります。
インプラントが感染源になると、折れた骨と共に皮膚の下に細菌が閉じ込められ、骨がくっつくのを阻害します。
一方で、創外固定法は皮膚の外に器具があるため、内部の感染拡大を抑えやすくなることがメリットです。
そのため、開放骨折などの感染リスクの高い骨折にも対応可能です。
また、ピンの位置や圧の調整などを術後に皮膚の外側から調節することができ、治療を柔軟に進められます。
さらに、創外固定法は成長板に直接作用しないため、成長期の骨の成長を妨げにくいです。
創外固定法のデメリットには以下のことが挙げられます。
創外固定法はピンを刺した部位が常に外に露出しているため、ピン部の管理が必要です。
犬が気にしてかじることもあるため、術後は気をつけて経過を見る必要があります。
大型犬や体重が重い犬には不向きな場合があるため、創外固定法を選択する際には個体ごとの状態による判断が必要です。
さらに、創外固定法は支持力に限界があります。
骨の太さや活動性によっては、内固定など他の治療法の方が安定するケースもあります。
犬の骨折は、骨折の種類や部位に応じて最適な治療法が異なります。
創外固定法は感染リスクの高い骨折や成長期の骨折に適した方法です。
創外固定法は周囲の組織へのダメージを抑え、術後の調整が可能という大きなメリットがあります。
一方で、ピン部の感染や支持力の限界といった注意点もあるため、個体ごとの判断が重要です。
骨折は放置すると悪化したり、骨がくっつきにくくなってしまうため、早めの治療が大切です。
少しでも「足の付き方がおかしい」等の症状が見られたら、整形外科に強い動物病院を受診しましょう。
当院では骨折の治療を数多く行っております。
「骨折しているかも?」と感じたらお気軽にご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院