皮膚型リンパ腫は、皮膚に発生するリンパ系細胞に由来する悪性腫瘍です。リンパ球という免疫細胞が異常に増殖し、皮膚に腫瘍や発疹を形成します。リンパ腫は、他の部位にも発生する可能性がありますが、皮膚に初めて発生する場合を特に皮膚型リンパ腫と呼びます。
皮膚型リンパ腫の初期症状には、皮膚の赤みや腫れ、かゆみが含まれます。進行すると、皮膚にしこりや発疹が現れ、これが潰瘍化することもあります。特に顔、首、体幹部に症状が現れやすく、犬が頻繁に掻いたり舐めたりすることで症状が悪化することがあります。重症の場合、全身のリンパ節が腫れることもあります。
皮膚型リンパ腫は他の部位に発生するリンパ腫に比べて進行が緩やかなことが多く、初期症状は他の皮膚炎と区別が難しいため診断が遅れてしまうことがあります。確定診断には皮膚病変を一部採って、組織を観察する皮膚生検を行います。その他、血液検査や画像検査を行なって、腫瘍の全身のひろがりをチェックします。
皮膚型リンパ腫の治療は、疾患の進行度や種類によって異なります。治療法としては、免疫療法、抗がん剤を用いた化学療法、放射線療法などがあります。化学療法剤(抗がん剤)は単独で行われることもあれば、併用されることもあります。薬剤の種類や投与の間隔に関しては、現在でもさまざまな研究が行われています。