肘関節形成不全

肘関節形成不全とは?

肘関節形成不全(Elbow Dysplasia, ED)は、犬の成長期に発生する 肘関節の発育異常を指す疾患の総称です。これは遺伝的要因が関与することが明らかになっている発育異常であり、主に大型犬や超大型犬に発生しやすいとされています。
肘関節形成不全には、以下の 3つの主要な疾患が含まれます。

内側向上突起疾患(Medial Coronoid Disease; MCD)
肘突起不癒合(Ununited Anconeal Process; UAP)
上腕骨の骨軟骨症(Osteochondrosis of the Humeral Trochlea; OCD)

上腕骨の骨軟骨症とは?

上腕骨の骨軟骨症(Osteochondrosis Dissecans, OCD)は、成長期の大型犬に多くみられる病気で、関節軟骨の発育異常により軟骨の剥離(はくり)や関節炎を引き起こします。通常、肘関節の内側上腕骨顆(medial humeral condyle)に発生し、運動後の跛行や痛みの原因となります。この病気は単なる関節の炎症ではなく、軟骨の異常な厚みと血流障害による栄養不足が関与し、結果として軟骨フラップ(軟骨片)が形成されることで発症します。病態が進行すると関節炎が悪化し、犬の生活の質を大きく低下させる可能性があります。

上腕骨の骨軟骨症の原因は?

上腕骨の骨軟骨症の原因にはいくつかの説があります。主な要因として以下のものが挙げられます。

遺伝的要因

特定の犬種で高頻度に発生することから、遺伝が関与している可能性があります。

急速な成長

成長期における骨の成長スピードが関節軟骨の発達に影響を及ぼします。

栄養の過剰

高カロリーやカルシウム過多の食事が成長異常を引き起こす可能性があります。

外傷や過度な運動

幼少期の激しい運動や外傷が関節軟骨にダメージを与えることが原因となる場合があります。

ホルモンの影響

成長ホルモンや甲状腺ホルモンのバランスが、骨と軟骨の発達に影響を与える可能性があります。

上腕骨の骨軟骨症を発症しやすい犬種や年齢は?

この疾患は、大型犬および超大型犬で多く見られ、特に以下の犬種に発症リスクが高いと報告されています。

  • ・ラブラドール・レトリーバー
  • ・ゴールデン・レトリーバー
  • ・ジャーマン・シェパード
  • ・バーニーズ・マウンテン・ドッグ
  • ・ニューファンドランド
  • ・ロットワイラー

通常、生後5~12か月齢の成長期に発症しますが、軽症の場合には成犬になってから慢性の関節炎として発見されることもあります​。

上腕骨の骨軟骨症ってどんな症状がでるの?

上腕骨の骨軟骨症の症状は以下のようなものがあります。

よくみられる症状
  • ・歩き方がおかしい、跛行(頭の上下運動を伴ってかばって歩く):特に寝起き時や動き始め、運動後に悪化しやすい。
  • ・肘関節が腫れる痛がる:肘関節を触ると嫌がる、違和感がある。
  • ・肘関節がスムーズに動かない:肘関節を伸ばしづらい、曲げにくい

このような症状が見られた場合、早期に診断を受けることが大切です。

上腕骨の骨軟骨症ってどうやって診断するの?

上腕骨の骨軟骨症の診断には、触診、画像検査を組み合わせて行います。

触診

  • ・肘関節を伸展させると痛がる。
  • ・肘関節を曲げづらくなる(屈曲制限)。
  • ・上腕骨の内側(内側上腕骨顆)を押すと痛がる。

画像検査・レントゲン検査

正面像にて内側上腕骨穎の異常や骨の欠損、関節の変形を確認します。典型的な所見として、内側滑車稜における骨の表面のへこみや変形性関節症の兆候がみられます。

CT検査(コンピュータ断層撮影)

CTスキャンはより詳細な診断が可能で、骨の内部構造や微細な病変を確認するのに有効です。特に関節鏡検査が難しい場合や、より精密な診断を行いたい場合に推奨されます。

関節鏡検査

関節鏡検査は、上腕骨の骨軟骨症の確定診断に有効です。微細な病変の観察が可能で、診断と同時にフラップ除去などの治療も行えます。CTでは確認しづらい関節軟骨の変性も詳細に評価でき、予後判定にも役立ちます。

上腕骨の骨軟骨症の治療方法は?

上腕骨の骨軟骨症の治療は、以下の2つのアプローチがあります。

保存療法

軽症の場合は、体重管理、消炎鎮痛剤の投与、運動制限、リハビリテーションによる症状緩和を試みます。サプリメントの使用も有効です。

外科療法

外科療法は、関節鏡や手術で剥がれてしまった軟骨フラップを除去し、軟骨下骨を刺激して治癒を促します。関節鏡手術は低侵襲で回復が早く、術後の関節炎リスクを軽減します。重症例では骨移植や骨穿孔術を併用することもあります​。

上腕骨の骨軟骨症と診断されたら手術した方がいいの?

軽症例では保存療法も選択肢ですが、関節内に剥がれてしまった軟骨フラップがある場合、放置すると関節炎が悪化し、予後が悪くなるため、手術が推奨されます。関節鏡手術は低侵襲で回復も早いことが多いため、一般的に推奨される治療法です。

上腕骨の骨軟骨症の手術のあとの管理はどのくらい必要なの?

手術後の管理は、少なくとも8週間の運動制限が必要です。術後の理学療法(冷却療法、他動的関節可動域訓練、リハビリ運動)を行うことで回復を促進できます。また、長期的な関節炎予防のため、体重管理や定期的な運動も重要です​。

内側鈎状突起疾患(MCD)とは?

内側鈎状突起疾患(Medial Coronoid Disease; MCD)は、犬の肘関節形成不全のひとつで、尺骨の内側鈎状突起(関節の一部)が損傷や分離を起こす疾患です。この疾患は、肘関節の 不整合(関節の適合が悪い状態)に関連して発生し、最終的に変形性関節症へと進行することが多いです​。かつては内側鈎状突起分離(Fragmented coronoid process; FCP)と呼ばれていましたが、病態があきらかになるにつれて内側鈎状突起全体に異常が存在することがわかり、内側鈎状突起疾患(MCD)と呼ばれるようになりました。

発症の特徴
  • ・生後5~12ヵ月齢の中大型犬に多い。
  • ・両側の肘関節に発生することが多い(片側のみのケースもある)。
  • ・発症初期は目立つ症状が少ないが、進行すると痛みや跛行が現れる。
  • ・放置すると肘関節の変形や可動域の制限が進行し、慢性的な痛みを引き起こす。

内側鈎状突起疾患(MCD)の原因は?

内側鈎状突起疾患の明確な原因は完全にはわかっていません が、以下のような要因が関連していると考えられています​。

遺伝的要因

大型犬や特定の犬種に好発することから、遺伝的素因が強く関与していると考えられています。

肘関節の不整合

尺骨と橈骨の成長速度の不均衡により、肘関節に異常な力がかかることで発症する可能性があります。尺骨が相対的に長い場合、内側鈎状突起に過剰な圧力がかかり、骨が損傷しやすくなります。

関節軟骨の発達異常

骨軟骨症(Osteochondritis dissecans; OCD)や発育異常による軟骨の脆弱化が、内側鈎状突起の損傷につながる可能性があります。

過度な運動や栄養の影響

成長期に過度な運動をすると、関節に負担がかかり、内側鈎状突起に亀裂が入ることがあります。また、高カロリー食やカルシウム・リンの不均衡な摂取が骨の成長異常を引き起こす可能性があります。

内側鈎状突起疾患(MCD)を発症しやすい犬種や年齢は?

内側鈎状突起疾患は 中大型犬に多く発生し、特に以下の犬種が好発犬種とされています​。

好発犬種
  • ・ラブラドール・レトリーバー
  • ・ゴールデン・レトリーバー
  • ・ジャーマン・シェパード
  • ・バーニーズ・マウンテン・ドッグ
  • ・ニューファンドランド
  • ・ロットワイラー
  • ・チャウ・チャウ
発症時期
  • ・生後5~12ヵ月齢の成長期に発症することが多い。
  • ・軽症の場合、成犬になるまで診断されないこともあります。

内側鈎状突起疾患(MCD)ってどんな症状がでるの?

この病気の症状は進行性で初期は目立たないこともありますが、時間が経つにつれて明確になります​。

よくみられる症状
  • ・前足の跛行(頭の上下運動を伴ってかばって歩く)
  • ・運動後の跛行の悪化
  • ・肘関節の腫れや熱感
  • ・肘を曲げたまま伸ばしにくい
  • ・前足を外側に向けて歩く
  • ・触ると痛がる(特に内側鈎状突起付近)
  • ・慢性的な痛み(進行すると関節の変形が生じ、可動域の制限が強くなります)

内側鈎状突起疾患(MCD)ってどうやって診断するの?

内側鈎状突起疾患(MCD)の診断には、臨床症状の評価、画像検査、関節鏡検査などを組み合わせて行います。

触診

  • ・肘関節を伸展させると痛がる。
  • ・肘関節を曲げづらくなる(屈曲制限)。
  • ・肘関節の外側が腫れる(関節液の貯留)。

画像検査・レントゲン検査

変形性関節症(Degenerative joint disease; DJD)の兆候を確認します。
レントゲン検査では、肘関節の側面像(伸展位・屈曲位)と正面像を撮影します。

【典型的なレントゲン画像所見】
  • ・尺骨の滑車切痕における骨硬化所見
  • ・内側鈎状突起の輪郭が不鮮明になる
  • ・関節の不整合(橈骨頭と尺骨滑車切痕の間に段差が生じる)
  • ・骨棘形成(DJDの兆候のひとつで、初期は側面像・屈曲位で上腕骨遠位に生じやすい)
  • ・分離骨片の検出

ただし、初期のMCDでは 明確な異常が映らないこともあります。

CT検査(コンピュータ断層撮影)

レントゲン画像にて異常が疑われた場合にはCT検査が推奨されます。麻酔をかけて行う必要がありますが、レントゲン画像よりも詳細に骨の状態を確認でき、早期診断や確定診断に有効です。特に骨片の有無や関節の不整合を評価するのに役に立ちます。

関節鏡検査

麻酔をかけて行う検査で、小さなカメラを関節内に入れて 直接病変を観察する方法です。
CT画像では軟骨がうつらないのに対し、関節鏡検査では軟骨表面の状態を確認することができます。MCDの確定診断に最も有効で、同時に治療(骨片の除去など)も可能です。

内側鈎状突起疾患(MCD)の治療方法は?

治療方法は、病態の進行度によって異なります​。

保存療法

(軽度のMCD)

急性期
  • ・消炎鎮痛剤:痛みや炎症を和らげます。
  • ・運動制限:炎症の生じた関節を休ませます。
慢性期
  • ・体重管理:関節への負担を軽減することで、関節炎による症状を軽減します。
  • ・運動療法:長時間の運動よりも、短時間・頻回の運動の方が関節の負担を軽減できます。
  • ・リハビリテーション:関節可動域の低下を防ぎ、関節周囲の筋肉のこわばりをやわらげます。
  • ・サプリメント:関節軟骨を保護し、長期的な鎮痛効果をねらいます。

外科療法

(中等度~重度の場合)

内側鈎状突起亜全摘出術

肘関節の内側に小切開を加えて遊離骨片を取り除く方法です。近年MCDでは病態の解明に伴って内側鈎状突起の遊離骨片の除去だけでなく、内側鈎状突起を広範囲に切除する術式(内側鈎状突起亜全摘出術)が推奨されています。

尺骨骨切り術

肘関節に不整合が生じている場合には、尺骨の近位側に骨切りを行うことで不整合を改善させます。この方法は、肘関節の負担を軽減して長期的な痛みの軽減を期待できますが、中大型犬では骨切り後に骨が癒合しない(癒合不全)ケースもあるため、術後は慎重な経過観察が必要です。

関節鏡手術

小さなカメラを関節内に入れて直接病変を観察し、遊離骨片を取り除きます。低侵襲で痛みが少なく回復も早いですが、関節に不整合がある場合には対応できません。また近年では関節鏡手術は診断目的での使用が増えており、治療としては内側鈎状突起の広範囲切除(内側鈎状突起亜全摘出術)が主流となっています。

内側鈎状突起疾患(MCD)と診断されたら手術した方がいいの?

軽症の場合には保存療法で管理することが可能ですが、関節のダメージが進行するリスクがあります。遊離した骨片が関節のなかで問題を引き起こしている場合(関節鼠と呼ばれます)には、外科療法が推奨されます。変形性関節症(DJD)が進行する前に治療を行う方が、より良い結果が期待できます。​
診断時に変形性関節症(DJD)が進行している場合、外科療法を行っても保存療法と予後が変わらないとする報告もあり、治療方針の決定は慎重に行う必要があります。

内側鈎状突起疾患(MCD)の手術のあとの管理はどのくらい必要なの?

手術後の管理は4~6週間の安静とリハビリが重要になります​。
目安になりますが、術後4~6週間は運動を制限しつつ短時間のリード付き散歩を行います。関節のケアとしては、関節を温め、マッサージを行うといったリハビリテーションを実施します。術後も関節の可動域の低下や変形性関節症のリスクがあるため、定期的な検診とリハビリテーションが大切です。

肘突起不癒合(UAP)とは?

肘突起不癒合(Ununited Anconeal Process, UAP)とは、犬の肘関節にある肘突起(ちゅうとっき)が、成長過程で正常に尺骨とくっつかず、分離したままの状態になってしまう病気です。通常、肘突起は生後4~5ヵ月齢までに尺骨と癒合しますが、なんらかの原因で癒合しない場合には関節の安定性が損なわれ、痛みが生じます。また、将来的に変形性関節症(DJD)を引き起こす可能性があります。

肘突起不癒合(UAP)の原因は?

肘突起不癒合の原因にはいくつかの説があります。主な要因として以下のものが挙げられます。

成長の異常

肘突起と尺骨が正常に癒合するためには、骨の成長バランスが大切です。特に橈骨と尺骨の成長速度の違いが影響を与えることがあります。

遺伝的要因

肘関節形成不全(Elbow Dysplasia)の一部とされ、特定の犬種に多く発生することから遺伝的な関与が示唆されています。

栄養や環境要因

急速な成長を促す高カロリー食や過度な運動が、骨の成長異常や関節の負担を増大させる可能性があります。

外傷

成長期の過度な負荷や関節への衝撃が、癒合の障害を引き起こす可能性があります。

肘突起不癒合(UAP)を発症しやすい犬種や年齢は?

肘突起不癒合は、大型犬や超大型犬に多く見られます。特に以下の犬種で発症しやすいとされています。

  • ・ジャーマン・シェパード
  • ・ゴールデン・レトリーバー
  • ・ラブラドール・レトリーバー
  • ・バーニーズ・マウンテン・ドッグ
  • ・ニューファンドランド

発症の多くは成長期に見られ、特に 4~7ヵ月齢の間に症状が現れることが一般的です。この時期は肘突起が尺骨に癒合するタイミングなので、この期間に問題が生じるとUAPが発生しやすくなります。

肘突起不癒合(UAP)ってどんな症状がでるの?

肘突起不癒合の症状は以下のようなものがあります。

よくみられる症状
  • ・歩き方がおかしい、跛行(頭の上下運動を伴ってかばって歩く):特に寝起き時や動き始め、運動後に悪化しやすい。
  • ・肘関節が腫れる痛がる:肘関節を触ると嫌がる、違和感がある。
  • ・肘関節がスムーズに動かない:肘関節を伸ばしづらい、曲げにくい

このような症状が見られた場合、早期に診断を受けることが大切です。

肘突起不癒合(UAP)ってどうやって診断するの?

肘突起不癒合(UAP)の診断には、触診、画像検査を組み合わせて行います。

触診

  • ・肘関節を伸展させると痛がる。
  • ・肘関節を曲げづらくなる(屈曲制限)。
  • ・肘関節の外側が腫れる(関節液の貯留)。

画像検査・レントゲン検査

標準的な 側面像(屈曲位) で肘突起と尺骨の間に隙間があるかを確認します。また、変形性関節症の有無や関節の不整合を評価することも可能です。

CT検査(コンピュータ断層撮影)

レントゲン画像にて異常が疑われた場合にはCT検査が推奨されます。麻酔をかけて行う必要がありますが、レントゲン画像よりも詳細に骨の状態を確認でき、早期診断や確定診断に有効です。特に骨片の有無や関節の不整合を評価するのに役に立ちます。

関節鏡検査

より詳細な骨の異常や関節の構造を評価するために CT検査 が有効です。レントゲンでは確認が難しい微細な異常や関節内の変化を正確に診断できます。

肘突起不癒合(UAP)の治療方法は?

肘突起不癒合の治療は、以下の2つのアプローチがあります。

保存療法

軽度の場合は、体重管理、消炎鎮痛剤の投与、運動制限、リハビリテーションによる症状緩和を試みます。

外科療法

(中等度~重度の場合)

肘突起の摘出

肘突起が癒合しない場合や、変形性関節症が進行している場合に行います。
肘突起を切除することで関節の痛みを軽減し、可動域を改善します。ただし、関節の安定性が低下する可能性があり、長期的には変形性関節症の進行の確認が必要です。

ラグスクリュー固定術

若齢犬で肘突起の癒合が期待できる場合に行われる手術です。肘突起と尺骨をラグスクリューで固定し、骨の癒合を促します。手術後は運動制限と適切なリハビリを行い、癒合状態を定期的にレントゲンで確認します。成功すれば高い機能回復が得られますが、癒合不全やスクリューの緩みが発生するリスクがあります。

尺骨の骨切り術

橈骨と尺骨の成長不均衡による関節の圧力を軽減するため、尺骨の近位側の骨切りを行います。この術式は単独で行われることもありますが、多くはスクリュー固定術と併用されます。手術後は骨の癒合を促すために運動制限が必要で、定期的なレントゲン検査を行います。効果がみられない場合、追加の手術が必要になることもあります。

肘突起不癒合(UAP)と診断されたら手術した方がいいの?

多くの場合、手術が推奨されます。
特に若齢犬で進行性の変形性関節症を防ぐために早期手術が有効 です。ただし、すでに関節炎が進行している場合は、手術後も関節の変形が進行する可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。

肘突起不癒合(UAP)の手術のあとの管理はどのくらい必要なの?

手術後の管理は6~8週間の安静とリハビリテーションが重要になります​。
目安になりますが、術後4~6週間は運動を制限しつつ短時間のリード付き散歩を行います。関節のケアとしては、関節を温め、マッサージを行うといったリハビリテーションを実施します。術後も関節の可動域の低下や変形性関節症のリスクがあるため、定期的な検診とリハビリテーションが大切です。