2025年07月28日コラム
「腫瘍が原因の大腿骨骨折ってどういうこと?」
「骨折だけでも心配なのに腫瘍があるなんて不安」
「愛犬が痛がっていてかわいそうだけど、これからどうなるのだろう」
このように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
犬の大腿骨骨折というと怪我や事故のイメージが強いですよね。
しかし、実は骨折の背景に骨腫瘍が隠れている場合もあります。
今回は犬の大腿骨骨折を引き起こす腫瘍について詳しく解説します。
愛犬の腫瘍による大腿骨骨折についてお悩みの方はぜひ最後までお読みいただき、ご参考にしていただければ幸いです。
大腿骨骨折とは、犬の太腿にある太くて長い大腿骨が何らかの原因で折れてしまうことです。
犬の大腿骨が骨折している場合には、
などの症状が見られます。
大腿骨骨折は強い痛みを伴うため、次第に元気がなくなり食欲も低下してしまいます。
愛犬の後ろ足の様子がおかしい場合には早めに動物病院を受診しましょう。
犬の大腿骨骨折の原因は、
といった外からの力によるものが一般的です。
しかし、骨に腫瘍があることで大腿骨骨折が起きている場合もあります。
犬の大腿骨骨折を起こす腫瘍には、良性のものと悪性のものがあります。
良性骨腫瘍には、
悪性骨腫瘍には、
などが挙げられます。
犬の骨腫瘍は大半が悪性であり、全体の85〜90%以上が骨肉腫です。
ただし、骨肉腫などの悪性腫瘍だけでなく、良性の骨腫瘍であっても骨折の危険はあります。
骨腫瘍の存在自体が骨を脆くするため、弱い力でも簡単に骨折する状態になってしまうということですね。
骨肉腫は腫瘍の進行が早く、肺に転移する確率も高いため、注意が必要な病気です。
骨肉腫は大型〜超大型犬の四肢の骨に多く発生します。
骨肉腫は目に見えない小さな骨折や骨膜の剥離を起こすため、最終的に目に見える骨折につながる危険があります。
初期の骨腫瘍の場合には、
などの症状が見られます。
初期の痛みは鎮痛薬によって抑えることができるため、歩き方の異常も一時的に治ったように見えるでしょう。
しかし骨腫瘍が進行していくと共に、
といった危険な状態を引き起こします。
骨腫瘍のできる場所によっては、血管や神経を障害し、血行不良や痺れが生じることもあります。
骨折の原因が腫瘍であるかどうかを見分けるには、
といった検査を行います。
骨腫瘍がある場合には、レントゲン検査によって骨折した骨に腫瘍の存在が確認できます。
怪我や事故による骨折と異なり、
などもレントゲン上で確認できるのが特徴です。
必要に応じてCTやMRIを併用してより詳しく画像検査を行うこともあります。
骨腫瘍による骨折だと判明したときには、
などを行い、腫瘍の種類を調べるのが一般的です。
ただし、確定診断が出るまでに時間がかかることも多いため、検査と並行してすぐに治療を開始することもあります。
通常の骨折では、折れた骨を整復する治療を行います。
しかし、腫瘍による大腿骨骨折の場合には、骨折そのものの治療というよりも、骨腫瘍に対してどのような治療を行うかが重要です。
代表的な治療には
などがあります。
腫瘍の場所や種類に応じて治療方法を選択します。
悪性腫瘍の場合には、断脚術とそのほかの治療を並行して行うことが多いです。
骨腫瘍による大腿骨骨折では、腫瘍が良性でも悪性でも、骨折を綺麗に整復し正常に動かせるようになるのは難しいものです。
良性腫瘍自体の予後は、腫瘍を完全に切除できれば再発の可能性も低く、再び骨折が起きる心配もほぼないでしょう。
悪性腫瘍の場合には、治療をしても再発しやすく、予後はあまりよくありません。
転移再発により、別の足に骨折を繰り返す可能性もあります。
治療の内容にもよりますが、余命は数ヶ月〜1年ほどとなることが多いです。
いかがでしたでしょうか?
腫瘍による大腿骨骨折では、治療方法や予後が通常の骨折と大きく異なります。
犬の足に少しでも違和感をもったら、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では整形外科に力を入れております。
腫瘍による骨折の場合でも、犬の状態や飼い主様のご希望に寄り添った治療法を提案しております。
犬の歩き方や骨折について気になることがある方は当院までご相談ください。
神奈川県藤沢市の動物病院
辻堂犬猫病院