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犬の橈尺骨骨折、小型犬はなぜ注意が必要?|日常の中に潜むリスクとは

2025年07月14日コラム

犬の橈尺骨骨折、小型犬はなぜ注意が必要?|日常の中に潜むリスクとは

ドッグランでこちらを見つめるミニチュアピンシャー

「犬の足が急に地面につかなくなった」
「抱っこから降ろしただけなのに、キャンと鳴いて動かない」
「足を触るのを痛がっている」
愛犬のこのような様子に驚かれた飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
もしかしたら、足の骨が折れる橈尺骨骨折(とうしゃっこつこっせつ)が起こっているかもしれません。
実は、小型犬ではごく軽い衝撃でも橈尺骨骨折が起こることがあります。

今回は、小型犬で起こりやすい橈尺骨骨折の特徴や注意点について、詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、大切な愛犬のケガを予防・早期発見できるよう備えてください。

小型犬に多い橈尺骨骨折とは?

橈尺骨とは、犬の前足(前肢)を構成する2本の骨、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)のことを指します。
橈尺骨は肘と手首の間にある骨で、前足の支えとして非常に重要な部位です。

特に小型犬は、骨が非常に細く、強度もそれほど高くありません。
そのため、「抱っこからの落下」「ソファからのジャンプ」など、一見軽い衝撃でも骨折につながってしまうことがあります。

骨折を起こすと強い痛みを感じることが多いため、「キャン」という鳴き声をあげたり、折れた足を地面につけなくなったりします。

ラグで横になるトイプードル

橈尺骨骨折を起こしやすい品種

橈尺骨骨折は小型犬の中でも

 

  • トイ・プードル
  • ポメラニアン
  • チワワ
  • ヨークシャー・テリア

などのトイ種や、イタリアングレーハウンドなどに起こりやすいとされています。
もちろん、他の品種でも骨折することはあります。

小型犬で骨折しやすい理由

中〜大型犬と比べて、小型犬の橈尺骨骨折が起こりやすい理由としては

  • 骨が細い
  • 骨の強度が弱い
  • 大型犬と比べると活動的

などがあげられます。
特に若齢の小型犬では骨が完成していないため、軽い力でも骨折しやすいため注意が必要です。

飼い主に抱かれるチワワ

小型犬の骨折の注意点

小型犬は橈尺骨骨折を起こした場合に、中〜大型犬と比べると深刻になりやすいため注意が必要です。
中〜大型犬は、同じ橈尺骨骨折でも比較的スムーズに治るケースが多く見られます。
しかし、小型犬は骨が細く、血流が乏しい手首に近いところで折れてしまうことが多いため、同じ骨折でも治りにくく、手術の難易度も上がる傾向にあります。
また、小型犬の橈尺骨骨折は即座に適切な治療を行わないと、骨がつかなくなる「癒合不全」などのリスクも高くなりやすいです。
そのため、小型犬の橈尺骨骨折はできるだけ早く整形外科に対応した動物病院での治療が重要ですね。

予防のためにできること

小型犬の橈尺骨骨折を防ぐために、日常生活で以下のような工夫が役立ちます

  • ソファやベッドから飛び降りさせないようにする
  • 滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く
  • 抱っこ時やキャリーバッグからの出し入れに注意する
  • 高所からジャンプしないよう、階段やステップを設置する

特に成犬になるまでは骨の成長が未完成なため、成長期の小型犬にはより一層の注意が必要です。
「これくらい大丈夫」といって起こった事故が、骨折に繋がるため日常生活から気をつけるようにしましょう。

小型犬の骨折は早期の治療が鍵

橈尺骨骨折は放置せず、できるだけ早く整形外科に対応できる動物病院での診察・治療が必要です。
特に小型犬の骨折は折れる部位によってはなかなか治らず、骨がつかなくなることがあります。
治療して元通り歩けるようになるためにも、犬の足の痛みの症状や、抱っこから落ちたなどの事故があった場合には早めに受診するようにしましょう。

まとめ

小型犬に多い橈尺骨骨折は、日常生活の中にあるわずかな段差や落下が原因で起こることがあり、気づいた時には重症化していることも少なくありません。
日頃の生活環境を見直し、異変に早く気づいてあげることが愛犬の健康を守る第一歩です。

当院では、整形外科に力を入れており、小型犬の橈尺骨骨折の手術や治療のご相談も受け付けております。
「前足を浮かせている」「抱っこから落としてしまった」などの異変に気づいた際は、お早めにご相談ください。